2013/06/04

上海BSデジタル

月曜日の昼に社に戻ると、待っていたという顔の支店長の宮里徹が春利を別室に行くように合図した。春利は、朝一で接着剤の製品案内を近場の中国の会社に張 虹(チャン ホン)を同行して行ってきたばかりだった。


「沢君、ご苦労様。先ほど名古屋の安藤課長と連絡が取れてね。出社した吉田沙希君と話したところ、電話もメールも石橋君とは連絡が取れないままだということだ。なんなら、今ここからかけたっていいよ」

「いえ、それが分かっているのなら、吉田さんを呼び出して話すのは・・」

春利から目を反らせた宮里支店長は、テレビのリモコンを手にした。

BSデジタルのNHK画面に日本人アナウンサーがアップで映し出された。春利の見覚えのある顔が日本語をしゃべっている。

福島第1原発の水素爆発のことにふれているが、チェルノブイリの場合とは違っているので心配はないと言っている。
震央は三陸沖で、マグニチュード9.0と想像以上の巨大地震だった。その後にやってきた津波は岩手県、宮城県、福島県、青森県太平洋沿岸、茨城県、千葉県九十九里・外房と広範囲にわたっていて、死者行方不明者は1万人を超えている・・

死者や行方不明者の名は報道されないが、ニュースは安否情報の問合せにふれている。

「沢君、災害用伝言ダイヤルって知ってる?」

「いえ。でも、日本国内から171して、被災地の方の電話番号を市外局番からダイヤルして下さいって言ってますよね。携帯やメールは分かるけど、来未の実家の電話番号は、沙希さんだって聞いてないでしょう・・」


「そうだな、しかし念のために、後で安藤課長にそのことも訊いてみるよ。石橋君の身内の誰かと連絡がつくと良いがね」

「すみません」


To Be Continued

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