2012/03/16

年末年始

春利は、そのカフェでその年最後の夕食を来未と一緒に過ごすことが出来た。

春利はビザで来未はパスタ、それに日本製の瓶ビールを二人で分けて飲んだ。
翌日から年末年始の休みに入る。その間は会社でも社外でも来未とは会うことが出来ない。

「休み中、メールか電話しようか?」
食事が終わった時、来未が笑みを浮かべて言った。

「僕の方は一人だからいつでも良いけど、来未ちゃんは都合が悪いこともあるかもしれないから、都合の良いときで良いよ。それとも、僕の方から先ずメールしようか?」

「そうね、私、適当なときにメール入れてみるわ」

「じゃあ、僕もそうするよ。メールだとどちらが先でも良いからね」
来未は頷き、二人は立ち上がった。

「じゃあ、今日はここで」
あおなみ線の駅まで一緒に歩き、二人は逆方向の電車に乗るため別れた。

名古屋駅行きの車内で、春利はその日外回りの営業から会社に戻った時、帰り際に課長から言われたことを思い出した。
来未には言わなかったが、「まだほかの社員には言わないでほしいが、年明けにはっきりするが2月に沢君上海へ転勤になるかもしれない」と言われたのだった。「君は電気に詳しいし適任だと思うんだ」と。

名古屋で地下鉄東山線に乗り換えた時、春利は急に父・荘太に会いたいと思った。国立大学の工学部で電気工学をやり、会社員になった。セールスエンジニアとしてそれなりに人との出会いを経験した今なら、幼い時に別れた父に会うことが出来るのではないのだろうか。籍が違っても、血がつながっているのだから、たとえ父がどういう生活をしていても、会いたい。兄弟がいればまた違っていたかもしれないが、母が亡くなってしまった今では、何をおいても父を探そうという思いが強く湧き上ってきた。


To Be Continued

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