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2018/11/19

Before the dawn

年が明け、春利の学習塾は特に問題なくいっていた。

ミナも週1回は手伝いに来てくれていたが、彼らについての新たな知らせもなかった。

春利は、そのまま行ってくれれば良いと思ったが、そうはいかないという予感はあった。それにしてもなぜ自分なんだろう、という疑問もわいてきたが、準備をしておかないといけないと思い、週4回来ている梨花のほかに、もしもの時にと信頼できる知人に声をかけていた。

そんな不安とは別に、中学受験した2人の女子生徒の合格の知らせが入った。ちょっと信じられない気もしたが、落ちても公立に行くから問題ない、と親から言われていたくらいで、裏口の手配は一切していなかったと、玄関に現れた生徒2人の親の口からきいた。

公立高校の合格発表で、12人全員が合格した。内申や学力で無理のないところへ持って行ったのが正解だったと春利は実感した。高校へ入ってから頑張ればいい、とアドバイスした。

「サトルが高校を受ける前にいなくなることはないよ」
自ら発した言葉を思い出した春利だったが、良いこと続きで、恐ろしくもあった。

「ジュンビシテオクヨウニ」
春利の頭に直接響いてきたのは春期講習のプリントを作っているときだった。
その日、中2の授業が終わり、男性の大学院生も梨花も帰った後で、春利一人だった。

「だ、だれ? どういうこと?」

「チキュウジンニシッテモライタイコトガアルカラ、シバラクツキアッテモライタイノダ」

「だれか知らないけど、どうして、僕なんだ? ほかにもいっぱい人間はいるじゃないか」

「ホカノチキュウジンモベツベツニツキアッテモラッテイル」

「準備って、いつ?」拒否してもどうにもならないことは分かっていた。

「マタシラセル」

「こちらにも都合があるんだ!」

「ワカッタ。ツギニシラセルトキニハナシヲキコウ」

勝手にするな、と春利は言いたかったが、相手がすでに立ち去ったことが、電波のような雑音が消えたことで分かった。

To Be Continued

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