2017/08/18

訪問者

「ミナさんのところを時々訪れる半透明のカタは、心理学者の女性と言っていましたよね」

「ええ、人間でいうとそういうことになるわね」

ミナが春利の住む公団の分譲に着いたのは辺りも暗くなった7時過ぎだった。中3の高校受験が終了したため、
土曜のその時間は空いていた。

「『かれらのせいかつ』というミナさんのあの著書で、地底人にふれているけど、ずっと前から、地底人について追っていたの?」

「地底人、という言葉が適切かどうかは分からないけれど、沢さんには言わなかったけれど、あの本を書き始める前にも、あの女性が私の部屋へ来ていたわ」

「その女性、ソフト帽というかバスケットハットみたいなのを被っていなかった?」

「そういえば、いつも何か帽子のようなものを被っていたけど」

「こんな感じのカタ、かな?」
春利は、メモ用に使っている罫線なしのノートを開き、その後ろ姿をスケッチした。

「後ろ姿ね」

「ええ。僕のところへ現れたときは、後ろ向きで台所の方へ移動して行った」

「じゃあ、正面からは見ていないのね」

「それに、ノートパソコンのスリープ状態の真っ黒な画面上を移動して行き、流しの所でもふり返らないで消えてしまった」

「画面に映って移動して行った後ろ姿が、こんなだったのね」

「そう、下手なスケッチだけど、背は低めで、こんな、ちょっと小太りな感じだった」

「私のところへ現れる時は、正面からだけだけど、似ているように思うわ」

To Be Continued

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