2017/04/15

縄文人のDNA

カナは、しばらくぼんやり上空を眺めていたが、首が疲れて下を向いた。カナの前をコート姿の女学生が2人何か話しながら通り過ぎて行った。京都にいたときとは違い、9月から10月にかけて気温が急激に下がり雪が降る日もあるが、その日は雲はあっても雪が降るという感じではなかった。

「カナ、そこで居眠りをしたら風邪をひくよ」

「えっ?」コートのポケットに手を入れ、リュックは膝の上にあったが、声が届いたのは頭の中だった。

「わたし、ねむっていた・・」先ほどベンチに掛けていたおばあさんもいつの間にかいなくなっていた。

「バス停には誰もいなくなったし、今がちょうどいい。そこから歩いて前方に葉の多い樹木が並んでいる所があるだろう。その辺りに行ってくれ」

リュックを背負うと、カナは小走りにそちらへ向かった。

言われた樹木の間に立つと、カナの体は上昇していた。上を見たがクラフトの姿はなく、薄くて丸い光のようなものが見えた。

「フィンランドは寒いだろう」

「そう。夏以外は京都よりはだいぶ」カナはちらっとクラフトの室内を見回し、スペーススーツに被われた父と目を合わせた。

「リュックをそこへ下ろし、そこへ掛けて」

カナが言われたボックスへリュックを入れると、自動で蓋が閉まった。カナは父の横に座っているもう一人のちょっと様子が違うひとに会釈して、父の後ろの席に座った。賀茂川の歩道でアブダクションされた記憶が一瞬よみがえった。

「座ったら先ずベルトを締めて。後はスペーススーツが自動で身体を包むようになっているから」

「ベルトは締めたわ。あっ、すごい。私の身体を宇宙服みたいなのが包んでゆく」

「オジョウサン スゴイデショウ」

「じゃあ、準備が出来たようだね。では、火星へ」

To Be Continued

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