2017/02/28

テレパシー

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ミナが上空へ顔を向けた時、春利はふいに時間が気になって腕時計に目をやったが、後ろでバタバタと走る足音がした。
振り返ると、柴犬のリードを持った高校生ぐらいの女性が引っ張られる格好で駆けて行く。

「あした行くよ!」

「えっ?」春利は思わずミナの方に顔を向けた。

「ミナさん、いま何か言った?」

「いえ。何も」ミナは上空から視線を春利の方へ向けた。

「でも、あの声は確かにミナさんの声だと思ったけど」

「私の声で、何と言ったの?」

「あした行くよ」

「確かに私の声だったのね」

「ええ。その声だった」

「もしかして」

「もしかして? 何か心当たりが」

「それ、どこから聞こえた?」

「うーん。そう言われると分からなくなるけど」

「テレパシーじゃないかしら」

「テレパシー? だれから・・」

「くわしいことは分からないけど。その声が私には聞こえなかったということは、沢さんの頭の中に伝えてきたんだと思うわ」

「早乙女さんの声で、僕の脳内に伝えて来たということは、僕とミナさんのことを知っている存在」

「そうね。『あした行くよ』って言ってきたんなら、また伝えてくると思うわ」

二人は同時に上空へ目をやった。

To Be Continued

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