2017/01/29

ミナの行方

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ミナが乗っていたのはスカウトシップと呼ばれるものだろうか。どの空間を超高速で移動しているかは、ミナには分からなかった。

乗った場所は、以前カナと彼らの空飛ぶ乗り物で接触した賀茂川の川べりだった。

知らせは、プアビからだったが、ミナにとっては突然だった。言われるままに体が動いていった。
迎えに行くのは私ではないとプアビは言った。辺りは暗くなっていて、上空は雲で覆われていた。

上空に吸い上げられ、気付くと機内にいた。操縦席にいたのは、ヒューマノイドの顔をした二人だったが、地球でいうロボットではないかとミナ思った。ロボットと言っても、理性も感情もあり、私よりは良くできているヒューマノイドに違いないと直観的に感じたが。

直ぐに座ってベルトを締めるよう案内された。別の空間に入るのだろうと思い窓の向こうに目をやったが、すでに地球の風景は何も見えなかった。フライングオブジェクトの外はどうなっているかまったく分からない。地球の列車でトンネルに入っている時とも地下鉄に乗っている時とも違っていた。地球上での闇とも違い、例えるならジャンボジェットで上空を飛んでいるが、外には何もない状態といった感じだった。別次元との壁は二酸化炭素なのか何なのか、具体的なことは思いつかなかった。

春利がミナからの連絡を確認したのは、塾が夏季講習に入って2週間余りたった時だった。それなりに忙しいのだろうと、あえて春利からは連絡しないようにしていた。梨花とは連絡を取り合っていたが、ミナからはその間一度も連絡が入らなかった。

夜中にラインに入ったメッセージを読み、春利はしばらく呆然とした。

ミナが大学講師を辞めたというのだ。別名で書いていた小説がそれなりに売れ、辞める決心がついたという。

出版した本が予想以上に売れたって? 

春利は初めて聞いた。ミナが小説を書いていたなんて。それまで一度もそのことにふれたことはなかった。

思えば、震災で行方不明になった来未のことがきっかけで春利の前に現れたが、不思議な現れ方だった。

「それで、今、ミナさんはどうしているんだろう。もしや?」という思いが込み上げてきた。

To Be Continued

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