2016/10/02

太陽系外惑星

夕方、両親のいる武蔵野へ行くというミナを春利は地下鉄駅へ送っていかなかった。立ち上がった春利を、ミナが制した。授業の準備があるだろうから送らなくていいとミナが言った。

ドアの向こうへミナが消えてしばらくして、春利はミナが再び連れ去られはしないかと不安になった。彼らと人間との懸け橋と言っても、彼らにも複数の種があるから、そんなに簡単にいくだろうかという思いがあった。父の生家の畑にある巨石を運んできたのはどのエイリアンだろうか。

春利はその日の夕食は作らず食べに出ることにした。

ミナは横浜で無事に乗り換えただろうか。カナさんは、フィンランドの大学でどうしているんだろうか。京都の大学を辞めてフィンランドで神学を学びたいなんて、ほんとうにみんなどうなっているんだろう。カナさんのいとこの谷川良治は、今も金星の地下で暮らしているのだろうか。カナさんの父親は現在どこにいるんだろう。

春利はいつもいく店とは別の、徒歩で30分ほどかかる所にある蕎麦屋へ行くことにした。簡単な問題でないことは分かっていたが、頭の中を整理したかった。薄暗くなっている上空を時折見上げた。雲間に月が見えたが、彼らの空飛ぶ乗り物は見えなかった。地震の津波でさらわれ、現在も行方不明のままの来未の顔が浮かんできた。

すると、家族で一人だけ生き残った梨花のことが気になった。歯科の予約があるからとミナに会いに来なかったが・・。

と、着信音が鳴った。

「今日はごめん。先ほど戻ったんだけど、ミナさんのことが気になって」

「ああ、歯の方はどう?」

「ええ。何回か通うことになるけど。それより、ミナさんどこへ行ってきたのか知りたくて」

「先ほど帰ったけど、惑星Xの上空と言ったら良いのかな? ミナさんも星の名前は分からないけど、あの新横浜公園の上空から消えて、しばらくしてスカウトシップに乗り換えて、惑星Xに向かったみたい」

「惑星X。それって、太陽系の外惑星で、一番外側の・・」

「ほかにも、発見されていない星があるかもしれなから何とも言えないけど、回っている方向が違っている惑星ではないかと思うけど」

「それで、誰に連れられて?」

「それが、マリアさんでもプアビさんでもなくて、別のアンドロイドというか。プアビさんに連れて行くように頼まれたというんだね」
反対側から歩いて来た春利と同年齢ぐらいの男が、すれ違ってから奇妙な表情で春利の方を振り返った。

To Be Continued


Sponsored Links