2016/08/25

古(いにしえ)と結ぶ

「春利、しかし、あれはそのまま信じない方が良いかもしれない。というか、結論は保留にしておいた方が良い」
翌朝、春利の添付ファイル画像を見たという返信が父・荘太から届いた。

春利はパソコンで、縄文のビーナスの写真を確認した。

工業団地の造成に伴う工事で1995年6月に縄文時代の遺跡から発掘されたもので、全長は27センチ、重量は2.14キログラム。・・

土偶の頭部にある円形の渦巻きの印が見られる画像を探し拡大した。渦巻きは右に30度ほど回転していたが、印は巨石の裏にあるものと同じだった。縄文時代の、あるいは人間ではない彼らが使っている文字かもしれないが、何を意味するかは分からない。

それにしても、模様の形は同じものだから、縄文のビーナスに関係のある者が刻印したのではないとしても、模様が何を意味するかを知っていた者がいたに違いないと春利は思う。現代では世界中に模造品が出回っているが、巨石が置かれた頃も何らかのそうしたことがなかったとは言えない。結果としてそうなったということもあり得る。

僕の先祖が畑をつくっていたときに、偶然あの巨石が土中から出てきたことだって考えられる。午後の授業用のプリントを作成しながら、春利の脳裏に次つぎと考えが浮かんだり消えたりする。

父が言うように、仮にあの巨石を反重力で八ヶ岳界隈から運んできたとしても、イナンナに結びつけるのは保留にしておこう。

あの空飛ぶ乗り物で縄文時代の八ヶ岳山麓へ僕を連れて行ったのは、縄文のビーナスと言われる土偶と同じ存在なのか。八ヶ岳山麓から酷似した顔の部分だけの土偶が数多く出ているが、あれはみな、宇宙服というかヘルメットというか被り物をかぶった姿で、素顔を見た人は当時から今日まで、この国にはいなかったのか。

昼食をすませた春利は、世界中で発掘されている、イナンナとかイシュタールと呼ばれているテラコッタとかフィギュア、それにリサーチャーがこれも三角パンティーを穿いている同時代の発掘物だからと言っている画像をパソコン上に並べていった。

そこには、両眼が人間のように同一面上にあるものと、トカゲやヘビのように側面にあるもの、口が人に似ているものとトカゲやヘビのように奥まで続く深いもの、両肩が角ばり、両腕を下げたときに脇に空間ができているもの、足の指が3本のものなど、さまざまだった。

人間に似た顔のものは、何らかの仮面をかぶり、人に似せていたのだろうか。

ブザーが鳴り、春利は時計に目をやった。

To Be Continued

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