2016/08/10

古(いにしえ)と結ぶ

satu3.jpg

日曜日の小5算数と中2数学の補習を終えた春利は、すぐ横浜駅近のデパートに土産を買いに行った。
父からの連絡で、翌日の成人の日だと、伯父の家は皆休みで家にいるという。

父がいうには、兼業農家だった伯父は疾うに定年退職して、夫婦で体を壊さない程度に農業をしているという。農学部を出た長男は地元の農協に就職し、結婚して巨石のある畑に家を建てたとき巨石を移動したという。現在巨石の周りは草が生えている状態らしい。

富士見駅であずさを降りた春利はスマホを手に歩き始めた。駅に着いたら電話もらえば、いとこのタダキが車で迎えに出るということだったが、携帯に出たタダキに、歩いて行かれる距離だし道も憶えておきたいからと、10時回った頃には着くと思うのでよろしく、と歩きながら言った。

スマホの位置情報でも、そこに違いないという建物の近くまで行った時、道の右手の家の戸が開き40位の男が現れた。

「やあ、はるとしさん?」

「そうです。タダキさんですか。お休みのところを、すみません」相手は大丈夫だというように頭を大きく縦に振った。

「親父とおふくろは向こうの家に」と、道の左手の大きな家を指さした。

「初めてだから」と、サンダル履きのタダキはそちらへ手で案内した。右手に坪庭の門があると父から聞いた光景を目の当たりにして、春利は従兄・タダキの後についていった。柿の古木の周辺には土を含んだ根雪が所どころに広がっている。

「おお、荘太の息子の・・」入口の戸を開けて従兄が声をかけると、三和土(たたき)の向こうからすぐ声がかえってきた。

「春利です。初めまして」春利は土産の一つを手に頭を下げた。

「ほんとうに、初めてだね。もういくつになった?」

「2月で32です」

「おおそうか。うちのタダキが38だから」

「なんでも、あの大石の裏を見たいって? だいぶ掘らないと簡単には無理だろうが」

「すみません。お休みの日に余計なことを言って」

「いや、もう会社は辞めて家で休みやすみ百姓をやってるが、冬のシーズンは仕事もないから」
あがりはなに顔を出した伯父の連れ合いが、上がってもらうように、と言うのが聞こえる。

「いえ、良かったらこちらで大石と呼んでいるそれを先ず見せてもらえればと思って」

「タダキ、時間の都合もあるだろうから、あの大石のところへ」

To Be Continued

Sponsored Links