2016/06/29

空からのメッセージ

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梨花も立ち上がり、二人は舗装された周回路を歩き始めた。陽は沈み辺りは暗くなっていたが、さほど寒くはなかった。

「梨花さんはほんとうに大変な経験をしたんですね。家族を一度に失うってことはつらいことですよね。僕の場合は、母を亡くしたけれど、父と再会できた。来未は戻って来ないけど」

「わたし、人はいつどうなるのか、ほんとうに分からなくなったわ。これが幼いときだったら生き延びられるか。実際そうした目に遭った人もいたんだから」

「そうですね。僕の父も、小学校の低学年で母親に病死されて、そのことが神の世界にふれるきっかけになったと思うけど、今度は、その神がETだったという現実にぶつかって」

「ほんとうに、その世界って謎ですね。人には見えない世界でもあるし」

「確かに。この空間に別の空間が重なっていると聞いても、我われには見えないし」

「その世界が、早乙女さんには見えるんでしょうか?」

「くわしいことは分からないけれど、遠くの世界やあるものは見えるのかもしれない」

「さきほども、早乙女さんは上空から私たちを見ていたんですよね」

「雲でおおわれていたけれど、この同じ空間の空だと僕は思うけれど」

「別の空間だったとしても見えるの?」

「それは、今度会った時に訊いてみないと分からない。僕には」

「あっ、もう星が出ているわ」

「ほんとうだ。金星かな」二人は南西の空低く輝いている星に眼をやりながら周回路を進んでいた。頭にライトを点けた人が向こうから走ってくる。

To Be Continued

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