2015/12/03

夢と別な空間

店に着くと、中央にU字型に場所を占めているカウンターの向こうへ行った。向き合って座った二人はしばらくメニューを眺めていたが、カレーセットが美味しいと春利がいうと、ミナも牛丼でなくカレーセットにするという。春利が呼び鈴を押した。カウンターにいる学生風の若者は牛丼を黙々と口へ運んでいる。

「ここは、良く来るお店なんですね」春利が押した呼び鈴を見ながらミナが言った。

「ええ、24時間営業ですから、食事の用意をする気が起きない時などは助かります」春利は、先ほどまでミナの掌の温もりを感じていた手を膝の上に置き、やって来た店員に、メニューの品を指さし、二つ、と言った。

「沢さん。火星移住のこと聞いたことがある?」

「今度は火星ですか」

「ごめんなさい。混乱している時に話が飛んで・・」

「良いですよ。この際。・・ネット動画で観たことがあります」

「その前に、私たちがいる太陽系って、不思議だと思いません?」

「思います。人工的というか、何か出来過ぎているような」

「そうね。太陽系の惑星は、北極側から見て左回りに公転し、左回りに自転しているけど、金星だけ右回りに自転している。月は地球を1周する間に1回自転していて、地球から見るといつも同じ側しか見えないとか、天王星と冥王星は、常に同じ面を太陽に向けて自転しているとか」その時、二十歳位の先ほどとは別の男子店員がカレーセットのトレイを両手に持ってやって来てテーブルに置いた。大丈夫かな、とミナが目線で追っていたが、いただきましょうの合図をジェスチャアした。

トレイにはペーパーナプキンの上にスプーンだけが置かれていた。春利は箸の入ったケースの蓋を開け、みなに視線を送った。カレーセットにはサラダとみそ汁が付いている。

「早乙女さん、それで、火星のこととは?」春利はスプーンを口に運ぶ手をいったん休め、水を口にして言った。

「ええ。マーズワン計画のこと聞いたことある?」ミナが味噌汁をひとくち口にしてから言った。

「オランダの民間非営利団体が、火星に人類初の永住地を作るというあれですね」

「ええ。それで、どんな方法で行くかは?」

To Be Continued

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