2015/11/11

夢と別な空間

二人は根元から人の背丈ほどの所まで裸状態になっている古木の側のベンチに並んで座った。後ろの舗装された広い歩道を柴犬を連れたお爺さんがゆっくりと歩いていく。

「僕が、朝早くから夕方まで、どんなだったか、みてもらいたいんです」

ミナは小さく頷き、胸の前で合掌すると静かに眼を閉じた。

「僕は、どこにいたんだろう?」ミナが静かに眼を開け、上空を見上げるようにした後に春利の呟くような声がした。

「沢さんは、あの乗り物で、八ヶ岳山麓の上空を大きく弧を描くように飛び回った後、すっと別の空間へ消えたわ」

「それからあとは・・」

ミナはふたたび眼を閉じた。

「それは、別の空間のある場所からずっと過去の時代へ・・。そう。縄文時代の八ヶ岳山麓一帯・・」

「縄文時代へタイムトラベルした・・」春利は眼をつむったままのミナの口元へ視線を向けていた。

「そう。あの方がマリアさまなのね。沢さんがそのお方の側にいる。現在とはずいぶん違う風景のようだけれど、とても穏やかで、辺りに人の姿が見える。なんというか、似た世界で、とっても懐かしいような気持ちになるわ」ミナは、依然として眼を閉じたままで、口元だけが静かに動き、とても落ち着いた口調で語り続ける。

「あっ、上空の乗り物の所へ戻った・・。あの方と沢さんは、2階に隣り合って座っている。1階が操縦席のようで、私が会ったことがあるような姿形のひとが見える」

「そのひとは、小さい?」

「ええ」

「アンドロイド・・」

「くわしいことは分からないけれど、私たちよりもしっかりとした意思を持っているようだわ」

「それで、僕はここへ戻って来た?」

「・・・」ミナの眼は閉じられたまま沈黙がつづいた。

「沢さん。あなたがこの公園で気がついた時、夕方というか夜のようで真っ暗だった?」

「ええ、夕方でも辺りは真っ暗だった。まだ8月31日だったのに」

「ということは、沢さんは、この公園のあの辺りの芝生で、ずっと寝ていたことになるわ」

「そ、それはどういう意味?」

To Be Continued

Sponsored Links