2015/10/27

夢と別な空間

春利は身体が降りていくのを感じていたが、それはこれまで体験したことのない感覚だった。ただ、あがいてもどうにもならないだろうという思いだった。

気がつくと、春利は山の中のような所にいた。向こうの方にススキかヨシで出来ているような家が点在している。人と思われる姿もも複数見える。

「ここはどこだろう?」上の方に目をやったが、靄がかかっているようで何も見えなかった。「僕は、あの乗り物でここへ連れて来られた。そうだ。僕はあの方に・・」

「ここがどこか分かりますか?」 

「えっ! 今のは?」

「あなたの後ろ」

春利は意思が伝わって来た方へ恐るおそる目を向けた。そこには、何かに腰掛けているような不思議な姿があった。

「私が、あなた方がマリアと呼んでいる者です。あなたとは、あの公園の上空から話したことがあります」

春利は、意思が伝わってくる存在を確かめるように見回した。全身が何かで被われている。仮面のようなものの中に、眼のような二つの点を見つけた。

「あ、あなたがマリアさま・・」

「そうです。あなたのお祖母さんは信仰のあつい方でした」

「僕の、父のおかあさんのこと?」

「そうです。あなたは会ったことはないでしょうが」

「ええ。マリアさま。そ、それで、ここはどこですか?」

「私があなたをここへ案内したのは、当時の世界を見せてあげたかったのです。現在のこの国の人々は、この国のことをほとんど知りません」

「それでは、ここは日本なんですね」

「そうです。ここが、あの縄文時代です」

「ここが、縄文時代?」

「ええ。あなたの先祖が住んでいた縄文時代」

「では、あそこに見える人は縄文人?」

「そうです。ただ、こちらからは見えても、向こうからは見えません」

「どういうことですか?」

「別な空間です」

「じゃあ、タイムスリップして縄文時代へやって来た」

「ええ。私たちにはごく自然なことでも、あなたがたにはまだ・・」

To Be Continued

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