2015/10/02

夢と別な空間

乗り越した地下鉄駅で降りた春利は、池の横の舗装された坂道を上って行った。7時になるところだったが、曇り日の昼間ほどの明るさはあった。広い岸根公園内には樹木が多く、それが訪れる人の心に安らぎを与えてくれる。

一面芝生で被われた園内で一番の広場の横に差しかかった時、春利は上空に照明弾の様な不思議な物体が現れた日のことを思い出した。

甲斐犬を連れた大学生風の女性が側を走って行った。舗装された外周をランニングする人がつづく。自転車をこぐ高齢者がそちらから春利の方へ向かってやって来て通り過ぎた。時計回りの人もいれば、反対回りの人もいる。冬だったら真っ暗で誰もいない時間だと春利は思う。

樹木の側の空いているベンチに腰を下ろした。一駅乗り越しても、広い公園内を通って徒歩で帰ることが出来るのはラッキーだと思う。

と、腰から外して膝の上に置いたウエストバッグからコール音が聞こえた。

「父さん、どうしたの?」

「昼過ぎにうたた寝してね。春利が、どこか見知らぬ地にいたんだ。別な空間だといいけど、もしも体ごと持っていかれては、と気になってね」

「大丈夫。塾が休みなので、あの、早乙女さんと横浜西口で会って、今は帰るところ。一人で公園にいるよ」

「岸根公園かい?」

「そう。父さんよく分かったね」

「いや、春利の家の近くといったら、その公園ではないかと思っただけさ」

「あそう。見えたのかと思った」

「今回は違うよ。どこか別の星でなくて良かったよ。笑うかもしれないけどね」

「笑わないよ。それで、その夢では、どこかの星に僕がいたの?」

「うん。地球とはちょっと違うって、目覚めてから・・」

「そうなんだ。とにかく今は地球の日本の岸根公園だから大丈夫」

「良かった。笑われるかもと思ったが、気になってね。こんな時代だから」

To Be Continued

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