2015/04/30

カナの行方

日曜の午前10時半に家を出たミナは、いつものように地下鉄駅まで歩いていった。カナとの待ち合わせは勤めている大学方向へ一駅行った駅前だった。一度だけ行ったことがあるカフェだった。11時半から開店だが、日曜ということで適当な席がない可能性もあるため、待合せ時間を11時15分にした。カフェまでは3分くらいで行かれる。不定期に休みを取っているようなので、念のためにネットでチェックした。外観は白を基調にした建物だったが、食事しながら話すのには向いているのではと思った。

改札を出ると、カナは先に来ていた。明るい表情にミナほっとした。

「あら、ずいぶん早いわね。でも、今日は日曜だから、開店前に行っていれば席が取れるから良かったわ」

「わたし、早く目が覚めて、家にもいられなくて、ずいぶん早く来てしまったんです」

ミナは頷き、カナの肩にそっと手をかけてゆっくりと歩き始めた。日曜の昼頃はその辺りを歩いたことはなかったが、人通りが少なく意外に静かだな、とミナは思う。

「先生、まだ閉まっているようですね」
ミナが指さすヨーロッパ風の白い建物の前には、開店時間の案内板が出されていた。

「まだ、誰も待っていないようだから安心したわ。しばらくお店の前で待ちましょう」

「私、いろいろと調べて・・」

「じゃあ、もう退学を決心したのね」

「ええ、一週間以内には届を出そうと思っています」

「それは残念だけど、新しい道に進もうとしているから、私も出来る限り応援するわ」

「ありがとうございます。私、暗中模索だけれど、別の世界で・・」

しばらくしてドアが開き、中年女性が現れた。
「ああ、開店をお待ちですか?」開店案内の看板に手をやりながら訊いてきた。ミナが大きく首を縦に振り、しばらくここで待たせてもらいます、というと、中へどうぞ、と案内してくれた。なぜか北欧調のインテリアが配置され落ち着いている。ミナは、厨房ご主人・接客奥様、というネットでのコメントを思い出す。

「今日は私が持つから遠慮しないでいいわ。私はネットで調べて、和風パスタ・ランチにするけど」窓側の席に向かい合って座ると、ミナはメニューをカナに渡した。アットホームなカフェの雰囲気にカナも口元をほころばせた。

月替わりのプレートがおすすめで、メニューが季節に合わせて変わることをミナはネットで改めて確認してきたが、 御主人はイタリアで修行してきたのか、パスタもたくさん種類がある。カナも初めてだけど、和風パスタ・ランチにしてもいいかという。ミナは指でOKサインを送る。ミナは奥様に声をかけた。

「それで、カナさん、留学となるとお金がかかると思うけど・・」

To Be Continued

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