2015/02/25

世界の向こう-面会-

「カナさん」ミナはドアの向こうから看護師に付き添われて現れた彼女を見て言った。

「私は時間までこちらにいますから、気にしないで話してね」看護師は少し離れた椅子を見て言った。

ミナは看護師に頭を下げ、カナに向かいのソファに掛けるよう手で合図した。

「お母さんから連絡いただいて、初めて知ったものだから」カナは少し頭を下げたようだったが、表情は硬かった。

「どんなことでもいいから、遠慮しないで言って。無理しない範囲で・・」ミナはカナの目を見守る表情で静かに言った。

「わたし、幻聴や幻覚はないんです。夜中に目覚めて、夢で見ていたのか、頭に残っていた世界が浮かび上がって来て、それは、実在する世界だと思われて、そこにもう一人の私がいて、同じことを思っている。何も言えなくなって、お互いに顔を見合わせたままで・・」

ミナは深く頷いた。

「わたし、それから、言葉にだして話すことが出来なくなったんです」

「カナさん、無理に話さなくてもいいわ」ミナはカナの目に光るものがあふれているのを認めた。

「私ね、私もその世界があるかもしれないとリモートビューイングしてみたことがあるんだけど、何かが邪魔して、在るのかないのか、はっきりしないのよ。なぜだか分からないけれど」

「早乙女先生にも見えない・・」

「ええ。カナさん。それは、すぐに結論を出さなくてもいいと思うわ。私ね。人には見えない世界が、この宇宙にはいっぱい存在しているんじゃないかと思っているわ。だから、もう一人の自分がいてもおかしくないわ」

「先生・・」カナは少し頬に赤みを浮かべてミナの目を見た。

To Be Continued

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