2015/02/16

世界の向こう-精神科病棟-

桜が散り、新学期の授業が始まって3週間が過ぎた頃、ミナは、聞きなれない女性の声の主から電話を受けた。苗字を聞き、あれっと思いながら話に耳を傾けるうちに、それが誰であるか納得がいった。もう、3週間入院しているという。

今度の日曜日にと思い、面会は許されるか訊いてみた。落ち着いてきているのと、担当医の先生から、早乙女先生に会いたいと本人が言っているので、どうかとは思いましたが電話してみたという。

気にかかってはいたが、英語の単位を取リ終えたから、新学期が始まっても教室で彼女の顔を見かけることはなかった。

幸い、入院しているという病院は、ミナが普段利用している市営地下鉄線の駅から歩いて行かれる距離にあった。最初日赤に行き、そこは外来診療しかやっていないということで、紹介状を書いてもらい、大学病院に入院したという。

面会は、午後7時まで出来ると聞き、ミナは午後1時過ぎに家を出て地下鉄に乗った。考え事をする間もなく下車駅に着いた。歩きながらエイリアンの乗り物で火星の上空に行ったことを思い出した。カナは終始不安におびえていた。あれから何が起こったのだろう。カナのいる病棟がミナの頭に浮かんできた。

20分分ほど歩くと、大学病院の箱のような白い建物がくっきりと浮かび上がって見えた。

広いフロアの受付で、ミナは入院患者の名と面会に来た自らの立場を告げた。

「今日は、日曜ですから、担当の先生はいらっしゃらないですよね」病棟への行き方を聞いた後、ミナは訊いてみた。

パソコンの画面を見てから受話器を手に確認してくれている。

「今日は運よく、重富先生はお当番で、いらっしゃるそうです」

「ちょっとだけお話をすることは可能でしょうか」受付の年配女性は、頷いてからふたたび受話器の相手と話している。

「少しだったら時間が取れるから大丈夫ということです。面会は原則として談話室でしていただくことになっていますので、病棟の受付へ行かれましたら、その旨おっしゃってください。先生が談話室へ来てくださると思いますから」

To Be Continued

Sponsored Links