2014/10/24

帰国

荷造りしてみると、思ったより横浜へ送る荷物は少なかった。ソファやテーブルなど、入居する前に公寓に設備されていた家具類が空間を占拠していたのだ。

依頼した業者が荷物を運び出した日の昼に、春利は地下鉄中山公園駅から上海浦東国際空港へ向かった。上海の地下鉄に乗るのもこれが最後かもしれないと思い、周囲の中国人に目をやった。だいぶ慣れはしたもののやはり日本が良いと思う。

飛行機は予定通りの出発だった。台風シーズンだとか何かのトラブルが発生すると大幅に遅れることがあるので、アナウンスやボードを見てほっとした。

離陸した機内からは雲かスモッグかが覆っている窓外に目をやる。日本語の話し声が聞こえるかと思うと中国語の男の声がする。部屋に荷物がつく前に名古屋に挨拶に行こうと思う。安藤課長、部長、それに後輩の佐野の顔が浮かぶ。

そうだ、吉田沙希さんは去年で辞めたんだ。辞める前に、一度会っておきたかった。僕と来未との関係とは違う、同性同士の別の会話や世界があったのだろう。ああ、それにしても、来未は、僕を置いて旅立ってしまったのだ。何という不条理、めぐりあわせなんだ。

あれから、まもなく2年になるんだ。上海中山公園に現れた来未と友達だったという僕の知らなかった春海さん。あれは、どういうことなんだ。いったん死んだ人間が現れる。夢だったとしたら、僕の知らない春海さんはどうして現れたんだ。そう、それを教えてくれたのは、早乙女さん。

過去や未来、遠隔地の世界が見える、リモートビューイングの能力が彼女にはある。・・

To Be Continued

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