2014/10/16

帰国

年明けの4日、営業から世紀大道駅に近いビルに戻った春利は、ちょっと話を聞いてもらいたいと声をかけ、宮里に従って支店長室に入った。

「支店長すみません。2月いっぱいで、会社辞めさせてもらいたいんですが」
宮里支店長が席に着いた時、春利は半ば手を差し入れている背広の左ポケットから白い封筒を取りだして言った。

「それはまた急だね。まあ、そこへ掛けて・・。何かあったのかね?」

「支店長にはいろいろとお世話になりましたが、ちょっと、上海で働く気がなくなってしまったので、自分に合ったことをして日本で出直そうと思って」

「あの、石橋君のこともあったしね」

「ええ・・」春利はふいに込み上げてきた熱いものをどうすることも出来なかった。

「ああ、ふれない方が良かったかな。悪いことをしたね」

「いえ」春利は右手を眼もとへやってこらえた。

「吉田沙希君も昨年いっぱいで辞めてしまったし、沢君のような有能な人が辞めてしまえば、困ったことになるな」

「名古屋の吉田さん辞めたんですか?」

「ああ。誰かから連絡が来なかったかね。彼女は・・」

「ええ、名古屋では入社が同期ですし、社内では来未と一番親しい仲だったと・・」

To Be Continued

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