2014/07/04

久ノ浜にて

二人は県道157号線の右側をゆっくりと歩いて行く。通りから少し入ったところにブルトーザーが停まっている。建物のコンクリートの土台だけが残っている平地が目につく。

来未の姉・梨花が話していた赤い鳥居のある神社はどの辺だろうか。春利は誰かに聞いてみようと往来を見回す。前方から軽トラックがゆっくり走って来るのに気付く。手をあげ、頭を下げると、軽トラックが春利の横で停まった。

「ああ、ほしのみや神社のことかな。それなら」とおじさんは通りの反対側を指さした。

あの辺りにあったが、津波で流されてしまったというのだ。空地のような状態で草が生えている所があちこちに広がっているが、そこには仮設されたのか小さな仮社殿とプレハブ小屋があった。来未の両親が住んでいた家がどこだったか、神社の近くと言っても通りの向こうかこちらか具体的なことはそれ以上聞いていなかったから見当がつかない。

軽トラックのおじさんは、朱い鳥居や祠ならこの向こうにも、あっちにもあるよ、という。春利も地図で確かめてきたが、橋を渡った向こうと、右手の方にも複数の鳥居マークがあった。しかし、梨花の言葉から、現在二人がいる場所に間違いだろうと思う。

「じゃあ、沢さん、来未さんのご両親はこの辺りのどこかっていうことになるわね」

「そうですね」春利は次に続く言葉が見つからないまま足は歩みだしていた。

春利は先にたって橋の手前まで行った。現在は修復されているが、震災直後は道路が陥没して橋が寸断されたというのはここだろうか、と春利は前方に視線を送る。

「早乙女さん、時間は大丈夫ですか? 明日は、授業があるんでしょう」

「ええ。12時前ですね。準備はしてきましたから、もう少しは。せっかくここまで来たのですから」

二人は橋を渡らずに右手の東町方面へと海岸沿いの道を歩き出した。海岸にコンクリートの消波ブロックがいくつも見えたかと思うと、破壊されコンクリートの白い部分のギザギザがつづく防潮堤が現れた。穏やかな海はどこまでも続いている。

To Be Continued

Sponsored Links