2014/04/22

メッセージ

桑田荘太は数時間おきにパソコンのスカイプ画面をチェックしていた。

65歳になり生きる楽しみは薄れても、与えられた命を最後までまっとうしようと思った。微かな信仰かもしれないが、高校生のときに初めてであったキリストを通じての祈りが彼を支えていた。

だが、ここへ来て、桑田には新たな希望が開けていた。インターネットを通じて、5歳のときに別れた息子を捜すことが出来た。メールを送った時は、相手が仮に息子の春利だったとしても、自分を捨てた父親なんて親でもなんでもないと相手にしてもらえないかもしれないと思った。

しかし、息子は受け入れてくれたようだ。メールを交換し、互いの写真を送りあうことも出来た。そして上手くいけば、上海にいる春利とスカイプで互いの顔を見ながら話すことが出来る。これは神の導きだったのかもしれない。メールでの添付ファイル画像で現在の春利の顔や会社ビル、上海の風景の一部を知ることが出来た。

5月に入り、一部の種類の桜を残しては大方散ってしまったが、それに比べたら白い大きなコブシの花が咲き、つづいてハナミズキの街路樹が白やピンクの花を咲かせている。

陽射しが部屋を明るくした時、桑田は、25年前に春利を連れて行ったスタジアム周辺に行ってみようと思った。日曜だから人出が多いかもしれないが、にぎやかなのも良いと思った。午後3時を回ったところだったが、日照時間もだいぶ伸び、6時過ぎても明るから、と。

帰ってきたころ、春利のスカイプもつながっているかもしれない。

To Be Continued

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