2014/03/06

桑田は、フェイスブックのあれは間違いなく春利に違いないとは思ったが、送信してから不安が募った。

一つは、別人が「沢春利」の名でフェイスブックに登録しているという可能性もゼロではないと思った。同姓同名ということも考えられるが、その場合、相手は返信するだろうか。

さらに気になることは、間違いなく息子の春利だとしても、両親が離婚して母親に育てられたのに、今更何を言っているのだ、会いたくなんかないよ、と思っているかもしれない。妻・さなえは、碌に収入もなく転々と職を替えた桑田を優柔不断で生活力がない駄目な人間だと。稼いでこないくせに一人前に口をきき紐のような奴だと。確かに、看護師として働いていた年上のさなえの方が収入が良かった。夫としても父親として失格だったから、ああなったのだ。

フェイスブックでメッセージを送ってから2日になる。春利も、さなえと同じように父として根性のない人だ、今更連絡する必要なんてないと、返事をよこさないかもしれない。

1月29日、最後の日曜日、桑田は食パンにとろけるチーズに牛乳、それに生野菜で朝食を済ますと家を出た。

小田急の車内でつり革につかまり、目は窓外に向いていたが思いは沈んでいた。出がけにもメールは入っていなかった。

町田がアナウンスされ、電車が停車した。ドアが開いた。ホームの駅名が目に入った。乗客が入って来た時、桑田は乗り換えに気づいた。急いで表へとび出した。危なかった。

行く先は新横浜だった。

To Be Continued

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