2014/02/19

別の空間

2012年。2月も半ばを過ぎ、ミナは、春期休暇に入っていた。休暇に入ったと言っても、生徒の学期末試験の採点に追われていた。非常勤講師と言っても、ラテン語の方は生徒数も少なかったが、英語購読は生徒数も多いため採点作業で目の痛みを覚えた。

ミナは採点が済んだら生まれ育った両親のいる東京の家へ顔を出そうと思っているが、5月になれば33歳になるため、結婚のことで何か言われそうで、いくぶん気重でもあった。それは、面と向かって言わないかもしれないが、両親ともそのことを気にしていないと言えば嘘になるだろう。

2月もあと数日になったとき、ミナはようやく採点結果を大学へ提出できた。専任講師と比べれば収入は少ないので多くの非常勤は複数の大学を掛け持ちして生活していたが、ミナは英語の大学受験用参考書を2冊出していて、それが意外と売れていたため、当面生活の方は困らなかった。

一番長い休みでもあるし、大学受験の予備校で教えたこともあったが、もう少し自分の時間が欲しいと思い、予備校からの依頼も断っていたミナの関心は異性ではなく、異星人や異次元、瞬間移動、時空の穴といった世界だった。

その思いが特に強くなったのは、ネットで月の裏側の映像を観てからだった。ミナが生れる前に行ったアポロが撮ったビデオに映っていたのは、幅3370m、高さ500mもある葉巻状と言われる宇宙船。宇宙飛行士や関係者や政府首脳陣だけが知ったトップシークレット。長いこと秘匿されていた現実が徐々にリークされるようになった。

ミナは、あの映像をいくども繰り返し観た。人によっては気持ちが悪いと言って観ないかもしれない。巨大な宇宙船内の操縦席と思われる所にいた「モナ・リザ」と宇宙飛行士により名付けられた女性。額に何か印があり6本指だと言われても、黒髪でどこか日本人女性に似た容貌。異星人だと言われても、身内のような存在に思われた。人間に似ていて、エイリアンだと言われても信じられなかった。「モナ・リザ」は、何かを訴えているように思われた。

英語をそのまま訳せば、15億年前ということだった。月面ということもあるのだろうが、とてもきれいな状態で保たれていた。

To Be Continued

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