2014/02/10

フェイスブック

今年も、もう12月になっていた。勤務していたときも早かったが、辞めて家にいるようになってからも新たな月を迎えるのは早かった。

桑田は、パンと牛乳と野菜で朝食を済ませると、いつものようにパソコンを開いた。

長岡謙介。迷惑メールが並ぶ中に記憶にある名前があった。2月初旬にかつての神学部の仲間に会ったとき電話番号とメールアドレスを回し書きして主催者がコピーして渡してくれた。

「今度、僕はフェイスブックに登録したから良かったら君も始めないか」

長岡は自衛隊を途中でやめ桑田と一緒に受験した。桑田より2つ年上だったが、小柄で童顔、優しい心の持ち主だった。互いに多くはしゃべらなかったが、気持ちが通じていたのだと思う。

せっかく言ってきたのだから登録しようと桑田は思った。フェイスブックについて改めて検索した。
ハーバード大学の学生が始め、日本語版は2008年に公開された。実名登録制だと個人情報を知られたくない人はやらないかもしれない。以前、春利のことが気になって検索してみたが、見つからなかったことを思い出した。

実名登録だから不本意なトラブルが起きることも考えられた。フェイスブックの登録画面を見てから、そんな時はすぐ退会できるか検索してみた。パソコンから登録を解除して日本語版のアカウントを完全削除する方法があった。

登録画面に戻った。と、パソコンが急に鳴り出した。スカイプだ。すぐにそばの台の上からヘッドフォンを取ってきた。あわてると、なかなかパソコンの側面の穴に挿し込めなかった。

「サト子です」ヘッドフォンから声だけが飛び込んできた。ビデオ通話は選ばなかったのだろう。

「ハイ、ハロー!」桑田は半ば笑いながら応えた。2011年12月3日。桑田は壁にかかったカレンダーに目をやった。そうだ、フロリダは夜、明日は土曜でサト子は仕事が休みなんだ。

To Be Continued

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