2013/11/10

深い森

来未と春海は、さきほど若い男女が手を合わせていたところへ行って手を合わせた。

やがて、二人は互いに片方の手を伸べ、固く結ぶと、どちらからともなく何かに引かれるように移動して行った。

自らの意思によるというより、見えない力に導かれていくようだった。

二人は、前方に海が広がるところへ来ていた。

そこには、朱い鳥居と祠だけがあった。

あたりには建物のコンクリートの基礎部分だけが並んでいた。破損した基礎部分もあれば、そうでないものもあった。それ以外の所では土が肌を露わにしていた。

遠くの方には、倒れた電柱が横たわっていて、骨組みだけを残して焼けた状態の家もあった。

「はるみ、ここは」

「くみ」

春海の手から何かが来未の手に伝わってきた。

「わたしたち」来未の口を突いて出た言葉はそれだけだった。

「くみ」春海の手からふたたび何かが伝わってきた。

二人は同時に海に目をやった。

海は紺青の豊かな水を湛(たた)えていた。


To Be Continued

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