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2019/12/15

現在・過去・未来

春利は、表情が変わらない人を見ていた。それが春利の安心感を支えていた。
良治の伯父で、側の若い女性の父親。この人が科学者の渋江真佐男。

あの八ヶ岳山麓の時空装置の別荘・・。
一般人ではないが、人間であることに強い信頼感が春利の内に芽生えていた。

沈黙がつづいた。

「私にも分からないわ」春利の疑問にミナが応えた。

声に出さなくても、相手に意思が伝わっていた。

「この宇宙船はどこに向かっているの?」
カナが小声で父に言った。

「分からないが、我われの天の川銀河を航行していることは確かだろう」
博士も小声で応じた。

「ソノトオリ。マサオワ、ニホンジンノナカデワ、イチバンウチュウノコトヲシッテイル」

ふたたび、メッセージが伝わってきた。トーンは変わったが、トップからだと5人とも認識した。

僕らの太陽系の外を航行しているの?

「モチロン。ニンゲンノセイザヒョウト、ワタシタチガミテイルソレトワチガッテイル」

「どういうことですか?」
カナが再び声に出して言った。

「ニンゲンワ、ソンザイシテイルモノヲミテイナイシ、ジツザイシテイナイモノヲミテイル」

「人間は、正確に物が見えていない?」
谷川良治がつぶやいた。

「ソノトオリ」

To Be Continued

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