2018/02/27

現実

「あなたは、『春節塾の・・』」

「はい」

「私は沢春利の父親です。こちらは、春利の友達の早乙女さん」

「初めまして。シタラといいます。沢先生の大学の後輩で、今は院生で、昨年末からお世話になってます」

「じゃあ、講師の方?」ミナが口を挟んだ。

「ええ。この時期大学は休みなので、春期講習は9時からなので、沢さん現れないと生徒が来ますから。
あっ、僕がカギを預かっていますから、中で」

「それは、助かった。設楽さん、春利が居なくなったことを?」

3人は中に入り、ソファに腰かけた。

「実は一昨日、授業に来たら、ドアが閉まっていて、生徒が階段下にいたんです。
ドアが閉まっていて、電話しても誰も出ないって、生徒が・・」

「それで、設楽さんは沢さんからカギを・・」

「ええ。万が一僕に何かあった時はと沢さんから合鍵を預かっていました」

「それで、午後の同時間に組まれていた中学生の方は、僕が掛け持ちで代わりにやったんですが」

「それは、ありがとうございます」

「ただ、午前中の、小学生の授業がドアが閉まっていて、生徒は帰ったのでは、と。
それで、今日、この時間に来てみたんです」

と、その時電話が鳴った。

「はい。春節塾でございます。・・ええ。沢先生は急用でいませんが、
代わりに授業を出来る者がいますので、生徒さんに来ていただいてかまいません・・」

「生徒から?」荘太が額に皺を寄せて言った。

「いえ、小学生の坂本さんのお母様のようです。そちらのボードに春期講習の時間割が貼ってありますね。
それと、そこにテキストもあるようですね。もし設楽さん都合がつかないようなら、私がやってもいいですよ」

「早乙女さんは、京都の大学で教えておられたと、春利から聞いていましたが」

「僕はここの講師なので、今日のところは、僕がやりますよ。あと30分もすれば、生徒も来るでしょうから」

「設楽さんには、ほんとうにお世話になりますね。メールや電話しても、春利から3日も返事がなかったので、
何かあったに違いないと思って来てみたら、早乙女さんが、来てくれていたんです」

To Be Continued

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2018/02/11

現実

「あっ、はい」

「早乙女ミナです」

「あなたがミナさん」

「ええ。お父様も・・」

「ええ。春利と連絡が取れなかったのと、夢を見ましてね」

「地球上にはいないと思うわ」

「やっぱり。私も春利が何か乗り物の中で不安そうにしていたのが、」
現実に思われたので、塾の生徒のことも気になって」

「春利さん、私にも名前も分からない星へ向かっている・・」

「リモートビューイングの能力がある早乙女さんにも分からない星へ、
春利は・・」

「ええ。私たちとは違う種のETが2人、乗り物の中にいるわ」

「そこまで、見えるんですね。それで・・」

「たぶん、春利さんを彼らの星へ連れて行って、
何かを伝えようとしているんだわ」

「春利は無事に地球へ戻れるんだろうか?」

「そう祈りましょう。悲しいかな、お父様、
私たちにはどうにもできません」

「無事を祈って、待つしかないんだね」

と、その時階段下からバッグを手にメガネをかけた青年が上がって来た。

To Be Continued

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2018/02/04

現実

桑田荘太は朝6時前に家を出て、駅の近くで24時間営業の店に入った。

3日前、荘太は春利にメールを送った。授業中でも、メールだったら、
と思った。
それというのは、妙に現実味を帯びた夢を見たからだった。

もしかすると、夢ではないかもしれないと思った。

カレーセットのライスをミニにしてもらった。

電車に乗る前に、乗ってすぐにも、
荘太はスマホでパソコンと同じメールアドレスをチェックした。

「やっぱり、おかしいな・・」荘太は呟いた。
几帳面な春利が、メールを見ないはずはないと思った。
連絡できない状況が起こったに違いない。

地下鉄駅の階段を急ぎ足で上った。

「父さん、僕に何かあったら、塾生や父兄に連絡してほしい」
以前、春利に言われたことを思い出した。

夢が現実だとしたら・・。荘太の心臓は激しく打っていた。

息を切らせて階段を上がり、ドアの前に立った。
春期講習の日程が貼られていた。

ブザーを押した。
2度3度と鳴らしたが、応答はなかった。

春期講習が始まっているから、日程だともう30分もすれば、
生徒が来るのではないかと思った。

階段の下で足音がした。

「あっ!沢さんのお父様ですね」

To Be Continued

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