2014/09/29

世界の秘密

ミナからメールが入ったのは、土曜の夜だった。地図検索でミナの住んでいる住所と上賀茂神社と下賀茂神社、賀茂川、とチェックしてみた。彼らは地球の上空を瞬時に移動できるのだろう。

アメリカなどでよく言われるエイリアンのアブダクション。生殖能力がなくなった彼らが、人間の女性の身体を利用する。あるいは、人間の身体の遺伝子を調べたり人の身体にチップを埋め込んでその後追跡する。そんなことが日本でも起こった。

やめるように言ったエイリアンがいた。・・

春利は、公寓の上空からミナのことで意思を伝えてきたことがある存在について思い出した。あれは、ミナがメールでふれている、やめるように何かを伝えたエイリアンと関係があるのではないだろうか。

それにしても、ミナの生徒が何もされていなかったことを信じたい。催眠ができる専門家に診てもらえば、失われた記憶がよみがえるかもしれないが、本人はどうするだろうか。

春利は日本に戻りたいと思う。生きるためと割り切って来たつもりだったが、上海で働き続けることに意味を感じなくなった。来未が突然の地震で行方不明になってしまったことでどうしようもない喪失感が心の奥にあった。心のバネがどこかへ飛んでしまった。ミナとの展開がどうなっていくかは分からないが、父の住まいに近い所に住んで暮らしていきたいと思う。

「会社辞めよう」と春利は呟いた。国内勤務を望めば置いてもらえるかもしれない。しかし、年が明けて2月で31歳になる。春利は日本で出直したいと思う。

テレビを点け、日本のチャンネルを選んでコーヒーを淹れに立った。夜のニュースが始まっていた。地震関連の行方不明者のことが流れたが詳細を聞き逃してしまった。画面では福島原発の放射能汚染問題を報じている。出荷されていた茶葉から国の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたという。福島県からだいぶ離れている関東圏でだが、栽培されたのはお茶所だ。風の流れで飛散したのだろう。目に見えないから怖いものを感じる。

パソコンの前に行き、コーヒーを口にしながら、福島県内の行方不明者のページをさがす。

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2014/09/22

世界の秘密

「気が付いた時、わたし、賀茂川の側の道にいたんです。そこでしばらくぼんやりしていたんですけど、家に帰らなくっちゃと思って歩き出したんです。後から思い出してみると、駅で初めて時計を見たら5時半になるところだったんです。それで、1時間ぐらいの間だったかもしれないけど」

その時、先ほどコーヒーを持ってきてくれたブロンド女性が、ミナの方に目配せして帰って行き、交代の日本人の中年女性が、「何かお食事でも」と声をかけてきた。

ミナは、そこは外国から来た人たちも協力してやっていることを知っていたので、オムライスに野菜サラダとスープがメニューにあるのを見て、このセット良いですか? と訊いた。交代でやって来た日本人女性は、それは私の得意なものという感じで指でオーケーマークをした。カナも首を縦に振った。

「カナさん、ちょっと私に時間をください。私に分かるかどうか、やってみるから」ミナは目をつむった。

数分後、目を開けたミナが渋江カナの目を見て静かに言った。
「あなたは、スペースクラーフトの中に入ったけれど、彼らの一人が近くにいた母船の仲間と連絡を取った後、あなたを川の所へ戻したわ」

「じゃあ、わたしは何もされなかった」

「ええ、私のリモートビューイングが当たっていれば。私思ったんだけど、そのグループの中に、私が以前上賀茂神社で会ったエイリアンがいたのではないかと」

「上賀茂と下鴨の神社はそれほど離れていないですね」

「そうね。でも、気になるようなら、一度医療機関を受診して詳しく調べてもらったらと思うけど。どこか、違和感というか何か感じますか? たとえば、鼻の奥がちょっと変とか頭が痛いとか、身体のどこかに何かを埋められたような傷口があるとか・・」

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2014/09/21

世界の秘密

その日、最後の授業を終えたミナはカフェへ向かった。 11月最初の月曜日だったが、少し肌寒さを覚えた。生徒の渋江カナからメールが入ったのは、日曜日の午前中だった。文から緊迫感というか強度の不安が感じられた。要件は話を聞いてほしいということだったが、授業の準備もあるので、月曜日の授業が終わってからで良いかと返すと、それじゃあと応じてくれた。

個人的な話を聞くのは大学のキャンパス内でない方が良いと思い、アメリカ人の女性講師に誘われて行ったことがある洋館のカフェで待合せることにした。以前宣教師が暮らしていた家だったという。大学に来る地下鉄駅から徒歩で6分ほどだから問題ないだろうと、場所を知らせるメールを折り返した。受講している授業が先に終わる渋江は、いったん帰宅してその時間に来るという。

ミナが指定のカフェに着くと、渋江カナは不安そうな表情で洋館の店の前にいた。

客は二人のほかに青い目の外国人女性が二人いるだけだった。席に着き、ミナがコーヒーを2つ注文すると、カナは怯えたような口調で話し始めた。

3日の文化の日に下鴨神社の近くの家に家庭教師にいったという。中学校を受験するという小学校5年の女の子に算数を主に教えているというが、一昨日はその帰りに彼女の身に妙なことがあったのではないかと少しどもる口調で言った。

「わたし、帰りになぜかちょっと神社によって行こうかなって思ったんです」

「何か、聞こえてきたというか、意思が伝わって来たとか・・」

「何か、引かれるような・・」

「それで、下鴨神社へ」

「ええ、まだ辺りは明るかったけど、あそこ、道の両側に樹木がずっとあって鳥居まで長い道がつづいていて、暗くなる前には帰ろうと思っていたんだけど」

「そこで、何かが起こったのね」

「ええ。ずっと先に朱色の鳥居が見え、その向こうにいる人たちが小さく見えたわ。それからわたし・・」その時コーヒーが届き、ミナは、サンキューと運んできた中年のブロンド女性に笑顔で言った。

「どうぞ、つづけて」

「そこで、両側の樹木の間の上空に何かが来ているのを感じて見上げたんです。その前に、キュルキュルというような音を聞いたように思うけど、まぶしくて、そのものの様子は分からなかった。次の瞬間には身体が上へ揚がってその後は記憶がないんです」

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2014/09/14

世界の秘密

土曜の午後ミナからスカイプで連絡があり、春利は父に連絡しようかためらったが、翌日午前中に父からメールが入った。

長野市松代の皆神山へ行ってきた。ここ数年、春利と再会できたこともだが、神や知的生命体のことが気になりだしたという。神と知的生命体とは何らかの関係があるのではないかと思っているが、2008年に、ローマ法王ベネディクト16世が、
「神はアダムとイブと共に地球外生命体を創造された」と公表したという。地球人以外の宇宙人の存在を認めなかったバチカンが変わった、と。
 
春利も、バチカン上空に何度もUFOが飛来しているという映像をネットで観たことがあった。捏造なのかほんとうなのかは分からないが、ほんとうかもしれないという気がした。また、シュメールの粘土板古文を解読したというゼカリア・シッチンの言うことにも、真実が含まれているかもしれない。

人類は、天からやって来たアヌンナキと地球にいた猿人の交配種なのか、それとも学校で習ったように、猿人から進化したのか、それとも他の星で誕生してこの地球へ移住してきたのか。いずれにしても、どこかで誕生したことに間違いはない。

今日、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オラウータンは同じ仲間で、お猿さんはまた違っていることが分かっている。ヒト科チンパンジー、ヒト科ゴリラ、ヒト科オラウータン。30 億の塩基配列を比べてみると、チンパンジーと人は、1.23% しか違わないという。ウマとシマウマで、DNAの塩基配列で見て約1.5%違うと推定されていると。

アヌンナキが行う遺伝子操作の様子を描いた粘土板が見つかり、シュメールの古文書にはアヌンナキと地球の猿人の交配により人間を創造する様子が書かれていたと。 そしてさらに人間を増やすためにクローニングの技術を開発して人間を造ったと。 

春利はネット上で調べていて、もしそれがほんとうだとすれば、天からやって来たアヌンナキの科学は驚くべきものだと思う。が、一方で、現在の人間の背丈や肌の色、目鼻立ち、髪の種類などから、過去のある時に別々の星からこの地球にやって来た人種ではないかとも思う。                                         

それにしても、今回もミナのリモートビューイングの能力が証明された。彼女が自らそう望んでいたかは別にして。

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2014/09/13

世界の秘密

午後3時半を回ったところだった。4時過ぎに外へ出かけようと春利は思っていた。

パソコンを閉じてテレビを観ようと思ったときだった。唸るような音が入った。スカイプだ、父かな、と思いつつ急いでヘッドフォンを着けた。

画面に映ったのは、早乙女ミナの笑みを浮かべた顔だった。なめらかな落ち着いた声だった。

「えっ、僕の父が長野の皆神山に・・」

「ええ、私のリモートビューイングというか、今週の水曜だったわ。大学のキャンパス内のカフェでお昼を頂く前に、目をつぶった時のことだったんだけど。突然、リュックを背にした沢さんのお父様が現れたんです」

「それが、長野の皆神山だった・・」

「ええ。皆神神社という石碑が見えて、側の提灯には、皆神山と書かれていたわ」

「それで、これは、早乙女さんの部屋から」

「そう。今日はもう授業を終えて帰ってきたところなんです」

春利は、10月最後の土曜だったと思いながらミナの言葉に耳を傾けた。

「沢さんと沢さんのお父様、それに私は、同じ秘密を追いかけている、というか、意識するしないにせよ、そうしているのではないかと・・」

「意識するしないにせよ、同じ秘密を追いかけている・・」

「あるいは、そうさせられているのかもしれないけど」

「というと・・」

「この目に見える世界と見えない世界。この空間と別の空間。人間以外の知的生命体とか死後の世界・・」

「ううむ・・」春利は画面の中央で大きく見開かれたミナの瞳に吸い込まれていきそうになった。

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2014/09/10

世界の秘密

巨石で囲まれた岩戸神社を後にした桑田は、再び蛇行する坂道をゆっくりと自転車をこいで皆神山の頂上に着いた。山の頂上と言ってもそこは台形の上のように平らになっている。周囲の山や集落の状況から言って、取って付けたような独立した塊であることは確かだと思う。この山の直下が震源地で、群発地震が起こったというのも妙な感じがする。

駐車場に自転車を置きに行き、随身門の石段を上った。膝が痛んだが歩けないほどではない。左右の柱に目をやった。奈良時代の創建だというが、一度も修復していないのだろうか。確かに時代の重みを感じる。かつては修験道の地として栄えていたというこの辺り。縦長の大きな石版に「皆神神社」の文字が刻まれている。

門をぬけ、参道の正面にある拝殿へと進む。精巧な彫刻が施されているどっしりとした拝殿の前から燈篭が並ぶ方へと導かれる。そこに熊野出速雄神社(くまのいずはやおじんじゃ)の本殿がある。修験者達の修行の場にふさわしいかもしれない、と桑田は建造物を見回しつつ思う。

山門のところまで戻る。側に、来た時に帰りにと思った池がある。「皆神山のクロサンショウウオ産卵池」という案内板が目に入る。

池というより沼のようで、水もきれいではない。竿を立てたら10メートル以上もあったというが、クロサンショウウオがここで産卵するという。この山がどのようにして出来たのか、火山なのか、何者かの手が加えられたのか。駐車場の看板に書かれていた「宇宙空間への航行基地」というフレーズが桑田の脳裏に浮かぶ。この山の付近には低重力域があって地下には、楕円形陥没構造が推定されるというのも奇妙だ。ピラミッド説もある。

この沼をずっと下まで行くと、天照皇大神を祀っているあの岩戸神社の石室、塞がれていた巨石の奥に行くのではないか。そこが実際どのようになっているかは誰も分かっていない。

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2014/09/08

世界の秘密

午前中の授業を終えたミナは、キャンパス内にあるカフェ・レストランへ行った。学食レストランと言われていてもおしゃれなカフェで、学生・教職員だけでなく一般の人も利用できる。駅に比較的近いこともあり家族連れも来ていた。

ミナはメニューを確認し、学生たちが好む日替わりランチのチキンフィレロースト バーニャソース(500円)に決めた。

セルフサービスなので券売機でチケットを買い、トレーを持って並ぶ。

料理を受け取り、ナイフとフォークをトレイに載せながら顔見知りの学生がいるかと見回したがその時は気づかなかった。

ミナは向かい合わせの二人用の席が複数空いている方へ行った。

テーブルに着き、目を閉じていただきますと心で手を合わせた。
と、突然ある風景がそこに浮かび、見覚えのある高齢男性の姿が現れた。リュックを背にしたそれが沢春利といた人だと気づくのに3秒とかからなかった。直接会ったわけではないが、自分にはそうしたことがある、ともう一人の自分が言う。皆神神社と刻まれた石碑の横に立っているのは沢春利の父だった。皆神山と書かれた提灯も見える。

「早乙女先生!」すぐ側で若い女の子の声がした。

「どなたか待っていますか?」

「いえ、ああ・・」

「先生の英語を受講している渋江カナです」

「ああ、この前メールくれたカナさんね」
生徒数が多いから忘れられたと取られたかもしれないが、授業後に渋江カナが声をかけてくれたことがあったので覚えているというキーワードを口にした。

「偶然ですね。私も先生と同じランチです。すみません」
あまりに親しげに話しかけたことを気遣ったのか申し訳なさそうな顔をしている。

「いえ、いいのよ。どうぞ」

ミナが手でどうぞの合図をすると、渋江カナが料理の載ったトレイを置き向かいに座った。

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2014/09/05

世界の秘密

10月下旬だった。

桑田荘太は諏訪に生まれたが、一度も行ったことがない皆神山のことが頭にあった。春利が上海へ行った後、寒くなる前に行こうと思い立った。ネットで動画を観ていると、そこには地球と宇宙をつなぐ秘密が隠されているのではないかと思った。膝の痛みがひどくなり、姉のように歩けなくなってからでは遅い。

ネットでアクセスや地理状況を調べ、桑田はその日朝早く家を出た。

長野まで新幹線で行き、長野から松代へバスで行った。駅を背にして立つと、雲のような薄い靄のかかった皆神山が見える。標高659メートルとあったが、頂上が尖っているのではなく台形のような姿で、周囲の風景とはどこか違っている感じがする。

駅から少し歩き、松代観光物産館で自転車を借りた。眺めると近いようだが、歩くと1時間位かかるとあったので、初めての地で途中具合が悪くなったら困ると思いレンタサイクルにした。車でも上まで行けるが、自転車だと30分だという。

県道35号線を自転車で行くと、高校時代片道30分以上かけて自転車で通ったことを思い出した。背中のリュックサックにはおにぎり2個とペットボトルが入っている。

車の往来は少なく、自転車をこぐのに頃合いの気温だった。やがて、県道沿いに「皆神神社ピラミッド参道入口」という立て看板が見えた。その辺りから人家も少なくなり、稲刈りのすんだ田んぼを見ながら進んでいった。

山道になり、車一台が何とか通れるくらいの道幅だが、片側の石垣の周囲から草木が生え、反対側は松や杉の木立がつづく。道はなだらかに傾斜し蛇行しているように見えるが、ペダルを踏む桑田の足が次第に重くなる。後ろからも前からも車は現れない。

と、道の脇に丸太を並べた登山道のような階段があるのに気付いた。こぐのも疲れた桑田はそこで自転車をおりた。

岩戸神社。

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