2017/04/18

縄文人のDNA

「パパ、このマシンは別の空間へ入り、瞬間移動するの?」

「うん、でも直ぐだからね」真佐雄は前方の計器の方に手を伸ばしながら言った。

「地球でロケットを飛ばしている人たちも、こんなマシンに乗ったことあるのかなあ?」

「中にはそうした人もいるかもしれない」

「私は、パパには言わなかったけど、子供の頃、UFOって言われていたものを見てから、この世界を知るようになり、幽体離脱を知り・・」

「離脱のことは分かっていたけど、カナが子供の頃にUFOを見ていたことは初めて聞いたな」

「そう、ママの郷里の熊本の金峰山の上空に」

「そうだったんだ。空飛ぶマシンと言っても、これは違うが、念力のようなものでコントロールできるものもあるんだよ」

「念じればマシンが目的地に向かうものがあることは知ってるわ」

「サスガ、シブエハカセノオジョウサン」

「アルファ、もうそろそろかな」

「イエス。オジョウサン、チキュウジカンデ、アト、サンジュウビョウ・・カセイデスヨ」

「もう、火星」

「さあ。どこに着くと思う? カナ・・」

「地上ではないってこと?」

「サスガ、オジョウサン」

To Be Continued

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2017/04/15

縄文人のDNA

カナは、しばらくぼんやり上空を眺めていたが、首が疲れて下を向いた。カナの前をコート姿の女学生が2人何か話しながら通り過ぎて行った。京都にいたときとは違い、9月から10月にかけて気温が急激に下がり雪が降る日もあるが、その日は雲はあっても雪が降るという感じではなかった。

「カナ、そこで居眠りをしたら風邪をひくよ」

「えっ?」コートのポケットに手を入れ、リュックは膝の上にあったが、声が届いたのは頭の中だった。

「わたし、ねむっていた・・」先ほどベンチに掛けていたおばあさんもいつの間にかいなくなっていた。

「バス停には誰もいなくなったし、今がちょうどいい。そこから歩いて前方に葉の多い樹木が並んでいる所があるだろう。その辺りに行ってくれ」

リュックを背負うと、カナは小走りにそちらへ向かった。

言われた樹木の間に立つと、カナの体は上昇していた。上を見たがクラフトの姿はなく、薄くて丸い光のようなものが見えた。

「フィンランドは寒いだろう」

「そう。夏以外は京都よりはだいぶ」カナはちらっとクラフトの室内を見回し、スペーススーツに被われた父と目を合わせた。

「リュックをそこへ下ろし、そこへ掛けて」

カナが言われたボックスへリュックを入れると、自動で蓋が閉まった。カナは父の横に座っているもう一人のちょっと様子が違うひとに会釈して、父の後ろの席に座った。賀茂川の歩道でアブダクションされた記憶が一瞬よみがえった。

「座ったら先ずベルトを締めて。後はスペーススーツが自動で身体を包むようになっているから」

「ベルトは締めたわ。あっ、すごい。私の身体を宇宙服みたいなのが包んでゆく」

「オジョウサン スゴイデショウ」

「じゃあ、準備が出来たようだね。では、火星へ」

To Be Continued

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2017/04/11

縄文人のDNA

カナは、グレイトスクエアを通り、Porthaninpuistoへ着いた。広い公園のシンボルなのか古めかしい坐像がある。ベンチが周囲に円形に並んでいる。ーHENRICO GABRIELI PORTHANー カナは坐像の下の文字を追った。高齢のおばあさんが二人、リラックスした表情で掛けている。

「近い公園と言ったらここになるけど」カナは内心で呟き上空を見上げた。常緑樹の葉が空の一部を遮っている。リュックをベンチにおろし、昼食をすませてきたが火星では食べ物があるのか気にかかる。

「大丈夫だよ。カナが食べるものは私が用意してあるから」

「えっ? パパもう来たの」

「ああ。そこだと近くのバス停に人が大勢いるから、もう少し待つよ」

「でも、この時間だとだれか見ているよ」

「だいじょうぶ。クラフトが見えないようにするから」

「じゃあ、わたし、大丈夫?」

「心配ないよ。上空から場所を指定するから」

「でも、私が空へ上がって行ったら、見られない?」

「上空からだとどこに誰がいるか確認できるから、タイミングを見て案内するよ。このクラフトの音はほとんど聞こえないだろうし、樹木で見えない場所を選ぶから」

「じゃあ、私は、ここに掛けていて良いのね」

「OK」

To Be Continued

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2017/04/05

縄文人のDNA

フィンランドの大学に留学した渋江カナは、2度目の秋休みを迎えた。京都の大学にいたときにはなかった休みだが、1週間ある。夏休みには母のいる京都に帰ったが、講師のミナから届いたメールで忙しそうだったので、母のところに1週間ほどいて、ミナには会わずに戻った。夏休みの後半は、フィンランド語とスウェーデン語の学習をしながら、教会でボランティアをした。

秋休みに入った日の昼前に父から連絡が入った。父の連絡はいつも脳内に直接働きかける方法だった。

「カナ、しばらく休みがあるのなら、迎えに行くからこちらへ来てみないか?」

「こちらってアメリカ?」

「いや、火星」

「パパ、アメリカかと思ったら、今、火星にいるの?」

「そう。大学に籍を置いてるけど、ちょっと研究していることがあって、火星に来ているんだ。この間、良治も金星から来たんだよ。もう帰ったけど」

「そうだったの。それで、わたし、どうやって火星に行くの?」

「迎えに行くよ」

「スペースクラフトで」

「そう。これから行ってもいいかい?」

「いいけど。わたしのアパートメントの上空へくるの?」

「いや、近くの公園。人目を避けて、雲の陰から合図するよ」

「分かった」

To Be Continued

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2017/03/27

テレパシー

ベンチを後にした春利は、マシンが消えた空の方を見つめながら、常夜灯で照らされた人工池の横から草地広場を横切って行った。

谷川良治の意思が伝わって来たマシンは、三角形のエイのような格好だった。雲のある夜空に春利が姿を確認できたのは、黒い機体の周りがブルーの光線で縁どられていたからだった。

「それにしても、良治はどのようなテクノロジーを学んだのだろう」春利が内心で呟いた時、ジャンパーのポケットで着信音がした。

「沢さん。どうでした?」

「えっ? ミナさんの声だけど、ミナさんですか・・」

「はい、ミナです」

「どうでしたって、ミナさん、やっぱり・・」

「ええ。今回に関しては、タニカワリョウジさんが、上空に現れることが分かっていたわ」

「じゃあ、僕は今、公園の外に出る道を歩いているけれど、きのう、ミナさんの声でメッセージを送って来た相手が誰か、知っていたんですね」

「はい。私がコメントしない方が良いと思ったから。直接の方が」

「そうだったんですね。それにしても、谷川良治が、あんなマシンで現れるなんて。彼は、ほんとうは、僕のような人間じゃなくて、人の姿をしたヒューマノイドかハイブリッドかもしれないなんて思ったりしてるんです」

「ほんとうのところ私にも分からないわ。伯父の渋江さんだって、人間の科学では推測できないものを持っているかもしれない」

「フィンランド留学中の、娘さんのカナさんだって・・」

「かもしれないわ。それで、沢さんの上空に現れたのね」

「ええ。雲の向こうから現れて、マシンも見せてくれたけど、夢をみているような感じですね。良治がETだというのなら分かるような気がするけど、僕の中では、金星で彼に遭ったことも夢のようだから」

「ええ」

To Be Continued

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