2017/09/17

地下都市

「動物の肉を食べるなんて野蛮な人間、か・・」

春利はカレーに入っている肉を口に運んだ。
フリーエネルギーの研究者が、食事中に不意に現れた地底人に言われたという動画の場面を思い出した。

地底人といっても、以前は地上に住んでいた種が、ある時期から住むようになった。
それにしても、地上と地下で、どうして大きな違いが生まれたんだろう?

と、テーブルに置いたスマホに着信のサインがあった。

「いま、授業中かな? もう、終わったよね・・」

梨花からのラインだった。

「久しぶりだけど、もしかして何かあったの?」

「いま、大丈夫? 実は、最近、夢を見たので」

「もう授業を終えて、ちょっとウォーキングしてうどんを食べに来たから。それで、何か僕に関係があること?」

「ええ。もしかして、現実かもって思ったので、訊いてみようと」

「どんな夢だったの?」

「どこか、普段あまり見ない景色の所へ行っていたわ」

「僕が、ってこと?」

「ええ。あの丸い乗り物に乗っていたわ」

「僕一人で?」

「いえ。沢さんよりちょっと小柄なひとが一緒だったけど、性別は分からなかった・・」

「それ、いつのこと?」

「何日か前のことだわ」

「当たっている。梨花さん、前からそういうことあった?」

「あまり記憶はないけど、今回、目覚めた後も、なんだかリアルな感じがして」

「う~ん。梨花さんも・・」

To Be Continued

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2017/09/16

地下世界

「先生、これ、高校ではもっと難しいのや高度な解き方とかあるの?」

「あっ、あるよ・・」

中3数学の授業で男子生徒に質問され、春利は突然数日前のことを思いだした。

あの日、地下都市を案内され、帰りはトンネル内を移動すると言われ、一瞬にして上空に出た。
春利を案内したのはロボットだと言っていたが、言われなければロボットだと分からなかった。
それまで思っていたロボットとはまったく違った。クローンなのか、それとも・・。

授業が終わり、外食しようと家を出た。星が見えた。

チカトシ。あんなに整然とした建造物が地下にあり、多くの知的生命体が暮らしている。
姿かたちは、地上の人とそれほど変わらない。
ただ、ずっと進んでいる。人間のように動物や魚の肉を食料にしていない。

やはり、はるかに進化しているということだろうか・・。

カレーうどんを注文した春利は、やっぱり訊いてみようと思いスマホを取り出した。

ミナは意外にも直ぐに返事を返してきた。ラインって便利だな・・。

「授業が始まったのね。・・私を地下へ案内したのは地上の人間の心というか、心理を研究しているカタだったわ」

「で、ミナさんの家の近くの上空にやって来て、ミナさんを八ヶ岳山麓の地下へ案内したんですね」

「ええ」

「地下のトンネルは利用しなかった?」

「帰りは、あのマシンに乗ったまま利用したわ。一瞬で地上というか上空に出て、ヒトケのない場所で降ろされたけど」

「彼らの地下都市って、地上とまったく違って整然としているんですね」

「そうね。地下を利用した無駄のない建造物っていうか。テクノロジーがどこまで進んでいるのか」

「でも、現在の人間は、あそこでは暮らせないよね。食べ物から始まって」

「そうね。彼らからすれば、人間は野蛮に見えるでしょう」

「まったく、人間の種ってどうなってるのか」

「確かに。元は同じだったかもしれないけど・・」

To Be Continued

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2017/09/11

地下世界

「着いた」

「もう!?」

「そう」

「どうして地下へ簡単に来られるの?」

「このマシンに乗れば、それが出来るんだ」

「人間には通れないルートを、このマシンは通ることが出来るんだね」

「そう。今回は人間が八ヶ岳と呼んでいるこの山麓の地下に、都市があることをあなたに知らせることが目的だ」

ロボットに従ってマシンの外に出た春利は辺りを見回した。
晴れた日の地上よりは明るくなかったが、円盤型のマシンの列がどこまでも続いているのが分かった。

「八ヶ岳の地下から、ここへ通じているルートはないの?」

「ある」

「それは教えられない?」

「今は許可されていないんだ」

「場所は教えられないが、人間が利用しているトンネルのようなものがあり、そこを浮遊するマシンで移動することが多い」

「トンネルの中を浮遊して?」

「そう。人間が地底人と呼んでいる存在は、マシンに乗らないで浮遊装置だけでも移動できる」

「やっぱり人間より進んでいるね」

「では、別のマシンで都市の一部を案内する」

春利は、二人乗りの軽乗用車くらいのマシンに乗り換えた。

「ここには、地上の人間と同じくらい多くの生命体が暮らしているの?」

「いや、地上の人間よりはずっと少ないが、遥かに文明は進んでいるし、戦争もない」

To Be Continued

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2017/09/06

地下世界

八ヶ岳の地下世界。春利は内心で呟き、草の生えた大地に手を広げた。

この山麓のどこかに地下への入口があるのだろうか?
春利は先ほど同時に下車した登山客の姿を追った。樹木で見えなくなっていた。
次のバスは当分やって来ない。そのまま帰るのだと、先ほどのバスセンターへ戻れば良い。

春利は上空に何かの気配を感じた。鳶だろうか。羽を広げた黒い固まりが雲の下を移動してゆく。

と、その時だった。上空の一点が左回りに回転し、春利は眩暈を感じた。
気のせいかな、と思ったが、回転が大きくなり、とつぜん雲間から灰色っぽい球体が現れた。

地底人も地上に来たときは空飛ぶマシンを利用している。
そうした思いが春利の脳裏をかすめた。

春利の体はゆっくりと光の渦に吸い上げられていた。

「僕をどこへ連れて行くつもり?」
眩暈を覚えながら、春利はマシンの床で言った。

「アナタが望んでいた場所へ」
人間の姿に似た春利より背の低い生き物が応えた。

「僕の望んでいる場所へ」

「そう。地下都市」

「山の下に地下都市があるの?」

「ある。そこへ案内する」

「山の中に入口があるんではないの?」

「あるが、人間には分からない」

「あなたは地底人」

「わたしはロボット」

「どうして、僕が今日来たことを知っているの?」

「あるカタから、たのまれた」

「誰から? サオトメミナさんではないよね?」

「ちがう。とにかくそこへすわりベルトをしめて」

「イナンナ?」

「そう呼んでいるニンゲンもいる。アナタにも、そのことを知らせておきたいらしい」

To Be Continued

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2017/08/31

地下世界

春利が一人で八ヶ岳に出かけたのは、塾の夏休みの授業が終わった8月末のことだった。

ミナの話を聞いてから、八ヶ岳のことがずっと春利の頭にあった。

八ヶ岳山麓辺りと言えば、春利の父の郷里がある所でもあり、
カナの父で谷川良治の伯父にあたる渋江真佐雄の秘密の家がある所でもある。

春利はまた、父が訪問したという信濃境駅から歩いて行かれる井戸尻考古館のことを思いだし、
以前、マリアと思われるあの方に連れて行かれた縄文時代の八ヶ岳の風景がよみがえってきた。

その日、小淵沢駅でJR小海線に乗り換えた春利は、清里駅で下車した。
八ヶ岳は、複数の山々の総称だったが、春利は山に登るのではなく途中まで行って見ようと思った。

茅野駅からバスで美濃戸口まで行き、そこから八ヶ岳連峰の最高峰である赤岳を目指す登山客が一番多いということから、
別のコースで途中まで行ってみようと思った。

清里駅のバスセンターから清里ハイランドパーク行のバスに乗った時10時を回っていた。
バスの所要時間は13分、バス代は310円だった。

そのバスで下車した登山客は十数人だった。
登山用の服装をした人々は、縦に列を作って歩き出した。
春利は一番最後から従った。一キロ位歩いて辺りの景色をじっくり眺めて戻ろうと思った。

列は坂道をヘビのようにゆっくり登って行く。
目指すのは、長野県と山梨県にまたがる標高2,899 mの赤岳。八ヶ岳連峰の最高峰だ。

だが、春利の目的は赤岳に登ることではなかった。

草の上に座り込んだ春利は上空を見上げ、首が疲れたので足元の大地に眼をやった。
八ヶ岳は、ピラミッド構造と同じだ、という記事を思い出した。

ギザのピラミッドは、陽石と陰石が数百万個、交互に積まれ、中性エネルギーを発生させている。
八ヶ岳は、四つの山の岩石が酸性で後の四つの岩石がアルカリ性。
この八つの山の砂が混じると中性になりエネルギーの高い磁場が周囲に出来上がる。
これはフリーエネルギーの原点で、八ヶ岳は巨大なフリーエネルギー発生装置となって周囲に特殊な磁場を形成させている。

真偽はともかく、ピラミッドの下に地下都市へ通じるトンネルがある、
とETコンタクティーが動画で述べていたことが再び脳裏に浮かぶ。
上空はところどころ雲に被われているが、雨が降りそうな様子はない。

To Be Continued

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