FC2ブログ
2019/11/09

現在・過去・未来

「みなさんに伝えたいことがあって、こちらへ案内した」

春利が見覚えのある人の姿を見つめていた時、突然脳内にメッセージが伝わってきた。宇宙服を着た存在とは違い、どこか人間に似た感じがした。

「わたしは、方針を転換した」

「どういうこと?」
連れてこられた5人のうちの4人が発した問いだった。

「これまでわたしは、われわれと人間たちとの橋渡しをあなたたちに望んでいたが、それは必要ないと、人間を見ていて思った」

「橋渡しは必要ない」
春利とミナがそれを同時に反芻した。

「そうではなく、これから変化していく人間のことを、人間の手で伝え、未来に残していくために、わたしはあなたたちをここへ招いた」

「それだったら、もっと適した地球人がいっぱいいるのでは・・」
そう思いながら、春利は見覚えのある男と眼を合わせた。その時、相手が同級生の谷川良治だと確信した。
直後に春利は、先ほどまでいた宇宙服を着た存在が消えていることに改めて気づいた。

「地球上には、ほかにもこのことを伝えている人間がいる。あなたがたの国では、ここにいる5人を選んだ」

この意思を伝えてきている存在に、僕はこれまでに会っているだろうか。・・

「私たちは、これから変化していく未来のことを、ほかの日本人に伝えるために選ばれた」

春利はミナの隣に座っている若い女性の思いが伝わってきたことに驚いた。

ミナが彼女と目線を合わせ、今度は春利の方へ目くばせした。

「そのとおり」

全員に見えない相手の意思が伝わった。

5人からは見えないが、意思を伝えてきている存在からは、見えているに違いない、と春利は思った。

若い女性が、年配の学者風の男と合図している様子を見て、春利はミナ以外の3人が誰なのかを認識した。

To Be Continued

スポンサーサイト



Sponsored Links
2019/10/03

現在・過去・未来

そうだ、あの時、僕は何かの働きかけを感じて窓を開けたんだ。

春利は、眼下の空間で小型のスペースクラフトの方に吸い寄せられている情景を眺めながら思い出した。

夢ではなく現実なんだ。

「マモナク、キミノナカマガココヘヤッテクル」

「皆を乗せたあの物体が、この宇宙船に取り込まれるの?」

「ソウダ」

その返事を聞いた次の瞬間、春利のいるルームに宇宙服を着た4人が現れた。

この瞬時のテクノロジーはどういうことなんだ?

「コノルームデワ、ニンゲンワソノスーツヲキナイデイルコトガデキル」

春利の疑問には応えることなく、宇宙服を着た存在から春利にもメッセージが届いた。

4人は、自動的とも思える状態で、宇宙服から地球上にいる姿を現した。

「沢さん!」春利も同時にミナの名を呼んだ。宇宙服を着たままの存在が、椅子に掛けるよう合図した。

「デワ、ゼンインソロッタトコロデ、ドウシテキミタチガココヘマネカレタノカヲ、ワレワレノトップガセツメイスル。キミタチワ、ソノママノジョウタイデソコニカケテイレバ、ワレワレノトップノイシガ、キミタチニツタエラレル」

春利は、ミナと顔を見合わせ、他の3人の顔を眼で追った。

To Be Continued

Sponsored Links
2019/09/29

現在・過去・未来

「早乙女さんのほかには誰か?」

「ミナ、キミガシッテイルニンゲンダト、キイテイル」

「ぼくが知っている人たち・・」

「サア、モウ、ホシノジョウクウダ」

「ぼくは、このまま座っていればいいの?」

「ソウダ」

少し離れた所で計器に向かって座っている別の存在が、窓の下を見て仲間に合図したようだった。

春利の眼にも、赤茶色の大地のような景色が見えてきた。

「もしかして・・」

「ソウダ、キミタチガ、カセイ、トヨンデイルホシダ」

「早乙女さんたちは、地面で待っているの?」

「キミモシッテイルダロウ。チカノヒトツカラデテクル」

春利は窓の下を見つめた。大地にある小さな人工的な穴にも見える入口辺りに、生き物のような小さな姿が4つほど並んで見上げているようだ。

あの中に、早乙女さんがいるのだろうか。

春利はその時に初めて気づいたが、別の小型の物体が、巨大な宇宙船と彼らの間に浮かんでいた。

次の瞬間、4つの姿が浮き上がり、小型の物体の方に吸い寄せられるように移動していた。

春利の脳裏に、春期講習からバトンタッチして手伝ってくれることになった大学院生と面接した夜の記憶がよみがえって来た。

To Be Continued

Sponsored Links
2019/08/10

現在・過去・未来

「ここは、どこ?」
目覚めた春利は、いつもの自分の部屋と様子が違うところにいることに気づいた。
と同時に、これまでに体験してきたある種の異世界を思い出した。

「とうとう来てしまった」

「キガツイタヨウダネ」
眼の前にとつぜん現れた存在から春利の頭に相手の意志が伝わってきた。

「ぼくは、記憶を消された?」
春利は宇宙服を着ていると思われる存在から視線をそらせていた。

「イヤ。キオクニワ、テヲクワエテイナイ」

「ぼくは、どうしてここに? ここは・・」

「ソウダ。キミワ、ハジメテ、オオキナウチュウセンニ、ノッタカモシレナイ」

「やっぱり、人間の物ではなかったか。記憶が消されていないのに、どうしてここに居るか思い出せない」

「ニンゲンワ、コウシタケイケンヲスルト、イチジテキニ、キオクヲナクスノカモシレナイ」

「人間は、ここには、ぼく一人? ぼくの父さんはどうした?」

「キミノトウサンワ、キミガノゾンダヨウニ、ツレテワコナカッタ」

「早乙女さんは?」

「アノジョセイニワ、チカラヲカシテモライタイカラ」

「この、乗り物の中にいるの?」

「イヤ、モウスコシデソノホシニツクカラ」

「その星ってどこ? そこで早乙女さんを、この乗り物にのせるの?」

「ソウ、ホシノジョウクウニイッタラ、オシエル」

To Be Continued

Sponsored Links
2019/07/10

現在・過去・未来

「人間の目を惑わすというか、そうしたことをするETがいそうな気もするね」

「人間よりどれだけテクノロジーが進んでいるか分からないけど、彼らは光のことを人間よりはるかに知っていて、光をコントロール出来るのかもしれない」

「春利、それってホログラムのことかい?」

「分からないけど、光を自由に屈折させたり別な空間に移行出来たり。それで、相手に実像とは違う像が見えるよう操作したり。どの種とかは特定できないけれど、そうしたことが出来るんじゃないかと」

「それで、春利がこれまで遭遇した存在の実像は分からないと」

「そう。世界の人々の前に現れた聖母マリア。代表的なのが、1917年にポルトガルのファティマの太陽の奇跡と呼ばれる事件で、ルチア、フランシスコ、ヤシンタの前に出現した聖母マリア」

「あの、”おどる太陽の奇跡”のことだね」

「そう。僕のところに現れ、空飛ぶマシンで縄文時代へタイムトラベル。あれって、ほんとうは誰なんだろう・・。それとも、ある種の夢だったのか? テレパシーと言っても、本人がそう思っていれば、そのように聞こえるかもしれないし」

「あるいは、別のエイリアンだった?」

「分からない。人を惑わす悪い存在だったとも思えない」

「うーん。それは私には分からないな。太陽の奇跡で現れた大変な存在が、春利のところに現れ、縄文時代にタイムスリップしたとは・・」

「それにしても、その同じ存在が、例の近未来の存在と関係があるとしたら」

「春利、それは怖ろしいことだね」

「僕も。それで、どちらであっても、地球再生計画を実行しないように祈っている」

「私もだ」

「一瞬にして焼かれることもだけど、脳にインプラントされ、生き残った人間の記憶を消し、別の地球へ連れて行ってそこからまた次の人間の新たな一歩が始まるとは・・」

「だとすると、過去の人間も、どこかの時点で記憶が消されているかもしれないね」

「父さんも、そう思った」

「うん」

To Be Continued

Sponsored Links