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2020/07/31

名前のない星

「いま、どの方向へ向かっているんだろう?」
春利が再び疑問を発した。

「ニホンジンガ、シリウス、トヨンデイルホシノホウコウ」
ボスの意思が5人の脳に伝わった。

「僕らは、どこかの星へ降り立つの?」

「ノー。オリタチワシナイ。ソレニ、チキュウジンガニンシキシテイナイホシカモシレナイ」

「じゃあ、どうしてシリウスの方へ向かっているの?」
今度はカナの疑問が皆に伝わった。

「ミナサンガスンデイル、チキュウニカンケイガアルホシニツイテフレルタメデス」

「それは一つの星ですか?」
今度はミナだった。

「イエ、フクスウノホシデス。ソレラノホシカラ、フクスウノシュノガ、チキュウヘヤッテキテイマス。モチロン、ベツノホウガクカラモヤッテキテイマス」

「それらの星を知らせるためにわれわれを、この巨大な宇宙船で?」

「ハルトシノイウトオリ。シカシ、ドノホシニモチャクリクワシマセン。カリニ、ミナサンガウチュウフクヲキテモ、ゲンザイノニンゲンワ、タイヨウケイノホシイガイノ、ドノホシニモオリタツコトワデキナイ」

「現在のままの人間では、無理ということですね」

「マサオノイウトオリ。ダカラ、アンゼンナクウカンカラナガメナガラ、コレカラノニンゲンニツイテハナシマス」

「ということは、未来の人間がそれらの星で暮らすことになる?」
皆の視線が一瞬春利の方に向けられた。

To Be Continued

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2020/06/28

地球人

「アンシン シナサイ」

「春利たちのこと?」

「ソウダ」

「あなたは?」

「アナタガヨクシッテイルソンザイ」

「もしや・・」

「ソウ。ソノモシヤダ」

「春利たちはどこに?」

「アナタガタノ、タイヨウケイノソトヲコウコウチュウ」

「いつ地球に帰る?」

「モウシバラクカナ」

「じゃあ、安心して待っていれば良いんですね」

「ソウダ」

「それで、春利たちを連れて行ったのは誰ですか?」

「イウコトワデキナイガ、アナタガシッテイルソンザイダ」

「私が知っている存在?」

「ソウダ。ソレイジョウワイマワコタエラレナイ」

「何かわけがあるんですね」

「ソウダ。ニンゲンワ、シラナイホウガヘイワカモシレナイ」

「知らない方が平和?」

「シカシ、ニホンジンノナカニモ、ワタシトソノソンザイトノカンケイヲシッテイルモノモイル」

「知っている日本人が・・」

返事はなかった。

荘太は改めて上空を見上げた。
少し明るくなった空に、薄墨色の雲がゆっくりと移動しているだけだった。

To Be Continued

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2020/05/30

地球人

ベッドから出て南側の窓に行くと、荘太はカーテンを30センチほど開けた。

透明ガラスの向こうは、点在する常夜灯の光を包み込むように暗闇が覆っていた。

さらにカーテンを開け、上空を見上げた。

薄墨色の雲で覆われてい上空に星の光は見当たらなかった。

「誰か知らせてきた?」荘太は声に出して呟いた。

ETさんだとすれば、私の思いが届いているかもしれない・・。

若い頃に漠然と懐いていた神のイメージが、荘太の中で現実味を帯びていた。

かつて荘太が学んだ旧約聖書では、

「神は、御自分にかたどって人を創造された。神にかたどって創造された。男と女に創造された」と。

神と人の姿が似ているというのはおかしいという科学者がいたが、荘太は、長いこと人が神と思っていた存在が、人間よりはるかに知性が進んだETだと思うことにより、ある意味腑に落ちるようになった。さらにその上の神が存在するかどうかは分からないが、あらゆる面で人の能力を超えているETに遭遇した大昔の人間が、その存在を、神と呼ぶようになったとしてもおかしくはなかった。

と、次の瞬間、薄墨色の雲の間から別な何かが現れた。その物体の姿が真っ黒だったら気づかなかったが、完全に雲の下へやって来た時、コバルトブルーの縁取りがしっかりと確認できた。巨大な三角形。

荘太は、両眼をこすった。乱視の眼がさらに悪くなったのかもしれない。メガネを取りに行こうかと思ったが、その時、荘太の頭の中に人の声に近いような音が響き渡った。

To Be Continued

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2020/04/30

地球人

一端トイレに立ったが、戻って来て再び元のぬくもりの中へもぐった。

意識があったので、眠ってはいなかった。

しばらくして、どこかで聴いたことがあるような振動音を感じたが、すぐ消えたので気のせいかと思った。

荘太の頭は、薄暗いような、しかしこれまで体験したこともない闇のような世界で満たされた。

いつまでもつづくその状態に、荘太は夢なのかなと思い、目を開けようとしたが瞼が開かなかった。

不安に襲われたが、遠くの方に曇った日の空に似た領域があり、星のような丸いものを見た。

やがてそれは次第に大きくなった。見えるということは、どこかに光源がある。

その光景は消え、今度は先ほどの闇とは違う闇のようなところにいるようだった。

と、世界が明るくなった。地球の昼間とは違う明るさだった。

「ここはどこ?」荘太は声を出して言った。

返事はなかった。

目の前にこれまで見たこともない世界が広がっていた。球体が移動している。

広く遠くまでつづく空洞・・。

いつの間にか、荘太から不安が消えていた。

春利、そしてミナの顔が浮かんできた。

荘太は目を開けることが出来た。

To Be Continued

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2020/03/29

地球人

その夜、肩を揺さぶられた荘太は目を覚ました。
仰向けの状態でしばらくの間、記憶をたどった。

スイッチに手をやろうとして、そこが春利の塾であることを思い出した。
スイッチの位置を間違えた。
ベッドより畳に布団を敷いて寝た方が落ち着くが、春利の家だし、スペースからして我慢していた。

明るくなると同時に置時計に目をやった。午前2時を回ったところだった。
ベッドの上に上体を起こした状態で、夢だったのか、誰か来たのだろうか、とぼんやり考えた。

夢だろう、と自らに言い聞かせた。
雰囲気から男ではないと思った。
亡くなった元妻の、さなえ、それとも、白人男性と結婚してフロリダにいるサト子。
サト子からも長いこと連絡がないが、好きで一緒になったアメリカ人のパートナーがいるから、それなりにやっているだろう。サト子の性格から、一身上の何かがあれば連絡してくるだろう。

頭にわずかに残っているイメージから、2人より若い女性ではない気がする。
肩を揺さぶられる感じに、現実味があったのは何故だろう・・。
眠りが浅かった。

まさか、女性のET・・。

仮にそうだとして、ひとの姿形のET?

もしかして、春利たちのことを伝えようとしてサインを送って来た。

今となっては、誰であれ、春利たちのことを知らせてくれるのなら。無事でいることを知らせてくれるのなら有り難いと思う。

ほんとうに、人生ってやつは、人間っていう生き物は、何のためにこの地球にいるんだ。

To Be Continued

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