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2019/03/24

アマツクニ

「はい」

「卑弥呼って実在したんですかね?」

「私はそう思ってますが、決定的な証拠と言われると・・」

「研究者の方ですか?」

「いえ。調べている、くらいかな」

「そうですか。しかし、わざわざ東京から一人で来るわけですから・・。数日前にも、卑弥呼の墓のあるところへ行きたいというお客さんが来ましたが」

「はい。私もそうです」ミナは前方に見えるのは矢野神山ではないかと思いつつ応える。

「これまで、墓は近畿とか九州とかも言われて来たようですが、ヤクラヒメジンジャの古文書には、天照大神の葬儀の詳細が記されているそうですね」

「そうらしいですね」

タクシーを降りたミナは、動画で見た風景を思い出す。

今回は何かが起こるかな、と思いつつ200あるという急勾配の石段を上って行った。雨風にさらされてきた石灯籠が石段の両側に点々と並んでいる。樹木も時間の経過を感じさせるものが多い。

上がり切り、息を切らせながらしばらく行くと、正面に古めかしい拝殿が現れた。両側に一般に狛犬と呼ばれる石像が二体配置されている。

ミナは案内板の方に向かった。御祭神が大日孁女命(おおひるめのみこと)で別名が天照大神、御神格が正一位と記されている。
御祭神は八倉比売命とも言われ、卑弥呼は天照大神であるとしている。

ミナは裏手に回って行った。このあたりは数多くの円墳があり、八倉比売神社も古墳の上に建てられていて、前方後円墳の前部分に社殿が、そして後ろにあたる円墳部分は奥の院となっているという。

ミナは今度は木が横に敷かれたいくぶん狭い階段を上り、五角形の石積みの祭壇へ向かった。

To Be Continued

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2019/03/18

アマツクニ

ミナは徳島行きの飛行機に乗っていた。

春利の塾の夏期講習はあと数日あったが、ミナの授業は終わっていた。
もしかすると、上の存在から何らかのメッセージが入るかも知れないが、そのときはそのときだと覚悟を決めていた。

飛行機は、それまでは白い雲の上を飛んでいたが、いつの間にか大鳴門橋、吉野川が見えるところまで降下していた。
海上に小さく見える船が二隻確認できる。

アナウンスが流れた。
まもなく徳島阿波おどり空港に到着します・・。

海上自衛隊徳島航空基地と民間航空機が共用する徳島飛行場だったが、愛称で呼ばれた。

10時を回ったところで、予定通りの到着だった。空港からは当初バスとタクシーを乗り継いで行く予定だったが、10時台のバスは一本もなかった。

昼食にはまだ早いので、徳島阿波おどり空港店で昼食を購入してリュックに収め、タクシー乗り場へ向かった。

タクシーを待っている人はいなかった。

「やくらひめぐちのバス停辺りまで行っていただけますか?」

「神社へ行かれるんですね」

「はい。この時間、バスがないんですね」

「ええ。次は昼過ぎになるかな。東京からですか?」

「はい。徳島は初めてです」

「そうですか。私も7年ほど東京でタクシードライバーやってたんですが、家の都合でこちらへ来たんです」

「地元の方ですか?」

「生まれは東京なんだけど、親父はこちらの出です。・・最近、こちらの神社に来る方が多いんですが、東京でも知られるようになったんですかね?」

「かもしれないですね」

「卑弥呼ですか?」

To Be Continued

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2019/03/01

Before the dawn

ドアが開き、中学部の生徒たちが次々に現れた。

団地の部屋を利用しているだけに同時間に授業として使える部屋は2つしかなかったが、普段と違う点は、昼間であることだ。

「何か申し送りは?」授業が始まる少し前に、父の桑田荘太が到着して小声で言った。

「特にないけど、僕らが授業中だったり、何かの時用にそれを見てね」春利はテーブルの上に置かれたノートを指さした。

荘太が「申し送りノート」を手にした時、ミナと春利が立ち上がり授業に向かった。

ミナは中3生の英語で、春利が中2生の数学だった。梨花も中学部の数学を担当していたが、その日は授業が組まれていなかったので、父の荘太がヘルプに入った。授業中に誰か来たり、生徒や父兄からの連絡や問合せにも春利は気を配っていた。

戸は閉められたが、先生や生徒の声が2つの部屋から時折聞こえる。荘太はその声に安堵を覚え、テーブル上のノートパソコンのボタンを押した。画面にはエクセルやワードのフォルダやファイルがいくつも並んでいたが、荘太はその日のニュースが気になりインターネットのマークをクリックした。

しかし、設定されているヤフーの画面が開かなかった。
画面は真っ黒のままなので荘太は再起動しようと思ったが、次の瞬間黒い画面の上の方に小さな光点のようなものが現れた。

「変だな。故障かな?」

すると、光点が次第に大きくなって画面の中央で球体になり回転しているように見える。

「なんだろう?・・もしかして・・」

「ツタエタイコトガアル」

「えっ?」

それは荘太の脳内でではなく、パソコンに内蔵されているスピーカーから発せられたように思える。
画面の光る球体は回転し、W i-F i ルータが点滅している。

「だ、誰?」

「キミタチ ミンナニ ツタエタイコトガアル」

「もしかして・・」

「ソノトオリ」

To Be Continued

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2019/02/03

Before the dawn

「ミナさん、そんなに深い地下からどうやってあの乗り物で地上へ上がってくるの?」

「ええ。その場面は、別なときに見たことがあるけど、沢さんも、ネット上でそうした情景を見たことがあるんじゃないかと思うわ」

「僕も見たことがある? どんな光景・・」

「山の上空に火の柱みたいなのが立ち上っている」

「そう言えば、動画で」

「地下にみんながUFOと言っている格納庫が複数あって、飛び立つ時、亜空間が開けるというか、そこを上昇して行くのね」

「それは、僕が以前行った八ヶ岳山麓の地下と地上を行き来する時に、そんなだったのかもしれない」

「沢さんは、漠然とした意識の中ですでに体験していたのかもしれないわ」

「ミナさんは?」

「私は、そうした情景が、突然目の前に浮かび上がってくることがあるけど、地下での体験はないと思うわ。記憶が消されていれば分からないけど」

「記憶が消される?」

「ええ、彼ら知的生命体にそうされれば、当面意識には上ってこないと思うから」

「さすが、ミナさん。そこまで、分かっていて行動しているんですね。それで、そうした地下って、この国のどこにあるんだろう?」

「世界中にあるけど、日本にも複数あるんじゃないかと思うわ」

「日本列島のあちこちに散在している・・。それは、太古の昔から?」

「たぶん。かれらが、いつごろからそれに関係していたかは、曖昧だけど、だいぶ昔からだと思うわ」

「今日の人間がつくられる以前から?」

「まだまだ、私には分からないことがいっぱいだから」

「やはり、大変な秘密が隠されているんですね」

To Be Continued

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2019/01/23

Before the dawn

「ミナさん、ここ数カ月、とても妙なというかリアルというか、これまでにない夢を週に数回見るんだけど、何か暗示しているのだろうか?」

すでに小中学校は夏休みになり、
春利の塾も夏期講習に入っていたが、そのことについてはミナに初めて話した。

「あら、私もほかのことに気が行っていて・・。それで、どんな夢?」

「地下道を移動しているというか、逃げ回っているというか・・」

「地上でなくて地下ね。地上には出られない何かがあるのかしら?」

「地上に出ると、これまで見たこともない黒い物体が複数現れて襲ってくるというか追いかけてくる」

「その黒い物体は、沢さんに何か危害を加えた?」

「いえ。でも、こちらを目がけて追いかけてくる。それで、地下道へ逃げ込むんだけど、その地下道には人が誰もいない。それに、けっこう入り組んでいて、行き止まりではなくて、突然出口も現れるし、どこまでもつづいている」

「今までに行ったことがあるような所?」

「いえ。初めての地下道だけど」

「地球外のっていう感じは?」

「未知なところだけれど、地球のように感じる。ミナさんは、そんな夢をみたことがない?」

「夢というより、地球の地下というか、ふっとある映像が見えることがあるわ」

「このところ、神社めぐりはしていない?」

「そうね。ある小説を書いていて、ふと浮かんでくるのね。地下のことが」

「それって、どんな風景?」

「たぶん、縄文時代にはあったのではと思われるかと」

「そこには人間のような生命体はいるの?」

「ええ。人間の姿に似ているけれど、ずっと高度な生命体が。そこには人間もいて彼らに仕えている」

「地下のだいぶ深いところ?」

「10キロから20キロ」

「彼らは地上には上がってくるの?」

「ええ。あの乗り物で」

To Be Continued

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