FC2ブログ
2018/12/13

Before the dawn

春期講習は無事終わったが、春利は夏期講習のことが気になった。

「梨花さん、突然いなくなったらお願いします」
新中1の数学の授業に現れた梨花に小声で言った。

「誰がいなくなるんですか?」

「僕とミナさん・・」

「沢さんのお父様は?」

「今度知らせがあったら、父は高齢だしマシン内での生存は無理だと、それに塾の方もみてもらいたいからと強くお願いするつもりだけど」

「ほんとうに、悪夢というか大変なことですね」

「僕にも分からないけど、彼らには、未来の地球人のためというか、ものすごく先を見据えて計画していることがあるのかもしれない」

「私たちは、普通に今の生活を続けていきたい」

「確かに。それにしても、僕ら人間には、分からないことが多すぎて。かといって、逆らえないものがあることも事実だし」

「両親や妹の来未があの大地震による津波にさらわれ、行方不明になったことも何か関係があるのでしょうか?」

「分からない。自然災害ということで、ある意味納得というか諦めてきたことが、何者かによって引き起こされたとか、そういうことって、僕らには証拠がないわけで」

「そうね。別の空間とか闇の組織とか憶測を超えた明確な証拠も指摘できないし」

「ただ、これまで生きてきて、別の見方というか、違った考え方があるかもしれないと思うようになった」

「というのは?」

「これまで、神とか仏とか言ってきた存在が、一般の人間より遥かに進んだテクノロジーで出現するETの種ではないかということ」

「それだけ?」

「うん。彼らとの間に造られたハイブリッド」直後に春利は梨花の眼を見据えた。

「隠されている秘密があるみたいね」

「梨花さんもそこまでいった・・」

To Be Continued

Sponsored Links
2018/11/19

Before the dawn

年が明け、春利の学習塾は特に問題なくいっていた。

ミナも週1回は手伝いに来てくれていたが、彼らについての新たな知らせもなかった。

春利は、そのまま行ってくれれば良いと思ったが、そうはいかないという予感はあった。それにしてもなぜ自分なんだろう、という疑問もわいてきたが、準備をしておかないといけないと思い、週4回来ている梨花のほかに、もしもの時にと信頼できる知人に声をかけていた。

そんな不安とは別に、中学受験した2人の女子生徒の合格の知らせが入った。ちょっと信じられない気もしたが、落ちても公立に行くから問題ない、と親から言われていたくらいで、裏口の手配は一切していなかったと、玄関に現れた生徒2人の親の口からきいた。

公立高校の合格発表で、12人全員が合格した。内申や学力で無理のないところへ持って行ったのが正解だったと春利は実感した。高校へ入ってから頑張ればいい、とアドバイスした。

「サトルが高校を受ける前にいなくなることはないよ」
自ら発した言葉を思い出した春利だったが、良いこと続きで、恐ろしくもあった。

「ジュンビシテオクヨウニ」
春利の頭に直接響いてきたのは春期講習のプリントを作っているときだった。
その日、中2の授業が終わり、男性の大学院生も梨花も帰った後で、春利一人だった。

「だ、だれ? どういうこと?」

「チキュウジンニシッテモライタイコトガアルカラ、シバラクツキアッテモライタイノダ」

「だれか知らないけど、どうして、僕なんだ? ほかにもいっぱい人間はいるじゃないか」

「ホカノチキュウジンモベツベツニツキアッテモラッテイル」

「準備って、いつ?」拒否してもどうにもならないことは分かっていた。

「マタシラセル」

「こちらにも都合があるんだ!」

「ワカッタ。ツギニシラセルトキニハナシヲキコウ」

勝手にするな、と春利は言いたかったが、相手がすでに立ち去ったことが、電波のような雑音が消えたことで分かった。

To Be Continued

Sponsored Links
2018/11/01

Before the dawn

12月、年末年始休み直前の数学の授業が終わった。

「沢先生、受験まではいなくならないでよね」
帰り際に中3の市村聡が半ば笑いながら言ったが、真剣な眼差しだった。

「大丈夫。サトルが高校を受ける前にいなくなることはないよ」
春利はそう言って見送った。

「沢さん、市村君きわどいこと言うわね」
別の部屋で英語の授業を終え、日誌を付けていたミナが神妙な顔で言った。

「ほんとうに。なんか知ってるのかな、なんて気持ちになるね」

「そうね。でも、ほんとうのことは知らない。数学の問題が解けるようになり、沢さんの授業に期待してるからだわ」

「ミナさんには、生徒の頭の中が見える」

「一部だけれど」

「別の星の知的生命体は、相手が何を考えているかが分かる。だから、人間のように嘘はつかないと聞くけど」

「私は、時と場合によりだから、そこまではいってないわ」

「でも、僕よりはかなり見通せる」

「沢さんの方が感性が勝っているところがあるわ」

「そうかなあ? 僕はいい加減な人間だと思うよ。だから、今回のような体験をしても、生き延びてこられた」

「市村君には、しっかりと応えたわね。サトル君が高校を受ける前にいなくなることはないって」

「そう言っておかないとダメじゃない」

「でも、思っているんだと思うわ。だから、動揺していなかった」

「ミナさんだって、半年以内にとか言っていなかったから・・」

「そうね。来春の高校受験が終わる前に彼らが連れに来ることはないと私も思うわ」

To Be Continued

Sponsored Links
2018/10/12

宇宙政府

「ええ、大丈夫。私にも、何か確信みたいなものが芽生えてきたわ」

「こういうことって、もしかすると、彼らからの目に見えない何かを受け取って変わるのかもしれない」

「沢さんも何か・・」

「うん。僕も、今回とても長く地球を離れていたことになったけど、たとえば、授業をしてみて、無理かもしれないと思ったけど、以前よりひらめくというか、頭が元に戻らないかと不安だったけど、そういったこともなく、授業も出来るし、こうやって梨花さんと会話することも出来て、浦島太郎のように、現実世界が変わって見えるような不安もなくなっている」

「それは、幸せな事ね。わたしは沢さんのような経験はしていないけど。あのオレンジ色に光るものを見てから、世界が広がったというか・・。今回の、沢さんのことをきっかけに、ミナさんからいろいろと聞いて、これまで想像もしなかった世界のことが・・」

「というと・・」

「宇宙には、人間以外のさまざまな知的生命体が実在して、地球以外に、宇宙政府みたいなものがあるって。信じられないけれど」

「ミナさんは、彼らと地球人の仲介役というか、特別な役目を追っているのかも」

「そうね。来未の行った世界があの方には見えている・・」

「うん。別の空間が、一般人以上に見えている」

「おどろくべきことだわ」

「梨花さんも、変わったね」

「ええ。自分でも信じられない」


To Be Continued

Sponsored Links
2018/09/26

宇宙政府

「ほかにも何か?」

「ええ、訊いてみたいことが・・」

「どんな?」

「沢さん、何か宇宙服のようなものを着ていなかった?」

「彼らの乗り物にのっているときに、着るように言われて着ていたけど、それが見えた?」

「わたし、誰だろうと思って」

「そ、それが、僕がいなくなってから見えた」

「ええ。それも、ミナさんから沢さんのことを聞いてからだった。オレンジ色の物体を見た後だったか前だったか曖昧だけど」

「乗り物の中の僕が見えたのは夢の中、それとも・・」

「わたしの部屋で午後、お昼過ぎだったと思うわ。ソファに座っていたとき。テレビをつけようと思っていたから、夢ではないわ」

「どんなふうに?」

「目の前の空間に浮かんできた。数秒かな」

「ミナさんみたいだ。それで、僕だけだった?」

「そばに、別な姿の誰かがいた。少し小柄だった」

「間違いない。ぼくと、あの生命体だ・・。それで、その後は?」

「その時一度だけ。気になっていたけど、訊いてみてよかったわ」

「それ、ミナさんに言えば、すぐ分かったと思う。彼女、言わないことも多いけど、いわゆる、リモートビューイングの能力があるから」

「今思えばそうだけど、わたし、病気かもとか思い・・」

「分かるよ。でも、病気とは違う」

To Be Continued

Sponsored Links