2017/10/13

地下都市

「そう。実はそのことにもとても驚いている」

「どんな?」

「八ヶ岳山麓の地下都市では、辺りを出歩いてるヒトには出くわさなかったけど、
我われとあまり変わらない姿のヒトが建造物の中にいるのではないかと勝手に想像することにした」

「それで?」

「しかし、あのマシンに乗っていた生き物は小さいけど、ロボットには見えなかった」

「どういうこと?」

「でも、ロボットだと名乗ったんだ」

「沢さんには、私たちのような人に見えたわけね」

「そう。僕の部屋に現れた半透明な存在よりずっと普通だった」

「沢さんは、随分いろいろ体験しているのね」

「何とも言えないけど、あのヒトは、ロボットというより、クローン人間というか・・」

「何か特徴があったの?」

「小さいだけで、どこにでもいるような日本人に見えたんだ。それで」

「それで?」

「これまで抱いていたロボットのイメージとは違って。金属とかプラスチックとかではなく、普通の人間」

「ふつうのにんげん?」

「そう。顔の肌も、人の細胞で、僕らと変わらない。それに、普通に日本語で話しているように見えた」

「見えた。でも、どこか違っていた」

「違っていたのは、人間臭さというか、成育歴みたいなものが希薄だったかな」

「人造人間・・」

To Be Continued

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2017/10/08

地下都市

「沢さんは、その別な空間を移動していたんではないかと思ったわけね」

「それは、地下の通路というか、帰りに通ったのとは違っていたので」

「どんな感じだった?」

「うーん。乗り物の外は見えるようになっていたけれど、地上のような景色はないし、わずかな時間だったと思うけど」

「地球上でのものとは違うから、たとえようがないし、すぐに目的地に着いたのね」

「そう。それに、その間、目が回ってるような感じで・・」

春利は、残りのカレーうどんを見つめ、いったん切るけど、今度はこちらから電話するからと言った。

店を出た春利は夜道を公園に向かっていた。

「お待たせ。以前梨花さんと待ち合わせしたことがある公園に着いたから」

「あっ、大丈夫、塾の準備とかで都合悪くない?」

「大丈夫。ここから家は近いし、直接声を聞きながらの方が」

「そうね。私も、最近、別な空間に興味がわいてきて、いろいろ訊いてみたいと思ってたから」

「うん。この空間で生活してると、特に疑問はわかないけど、彼らが突然現れたりすると、別な空間があるんではないかと」

「それって、ある人には見えて、ある人には見えないってことがあるの?」

「状況にもよるんじゃないかな。可視光線にしても、視力も色も人によって違うし、見る角度とかもあるし」

「夜空の星もだし、彼らの乗物はもっといろいろね」

「彼らが、人間に見える周波数に合わせてくれれば見えるし、瞬間的に変えられたら、突然見えなくなるし」

「人は、せまい範囲しか見られないのかな?」

「彼らの方が、ずっといろんなものが見えているのかもしれないね」

「それと、今回は無人ではなくて、ほかの誰かがいたでしょう?」

To Be Continued

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2017/09/27

地下都市

「じゃあ、ほんとうだったのね」

春利は、いったん箸を置き、水を飲み込みながら入力を続ける。

「梨花さんも、とうとうそうした世界が見えるようになってきたのかも」

「沢さんは、来未が地震で亡くなってからって言ってたわね」

「そう。しかし、縄文時代の人とかは、今の僕らよりずっとそうした世界が見えたのかもしれない」

「私には分からないけれど。それで、沢さんは、あの丸い乗り物でどこへ行ってきたの?」

「梨花さんが見た夢の中では、どこに見えた?」

「うーん。あれは別の星っていう感じではなかった。最初、日本の山のような所に沢さんがいたから」

「そこまで見えていたんだ。それで?」

「次の場面では沢さんが乗り物の中にいて、ほかにもう一人誰かいたけど、ちょっと様子が違ってた」

「じゃあ、あの乗り物の室内が見えた?」

「私の夢の中では、真ん中に何か円柱形ののような柱があって、周りに椅子のようなものが並んでいたわ」

「それで、僕が行った所は・・」

「日本の都会とは全然違う、場所。私も初めてみた建物というか建造物」

「うーん。その通り。あれは、地底に住んでいる・・」

「地底人」

「そういう呼び名が合っているかどうかは分からないけど」

「わたし、本で読んだことはあるけど、実在するのね・・」

「僕も信じられないけど」

「沢さんは、夢ではなかった」

「そういうことに。帰りはトンネルのような所を通って地上に戻ったようだけど」

「行きは違ったのね」

「訊く余裕はなかったけど、別な空間かもしれない」

「別な空間への入口がどこかにあるってこと?」

「梨花さん、すごい」

To Be Continued

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2017/09/17

地下都市

「動物の肉を食べるなんて野蛮な人間、か・・」

春利はカレーに入っている肉を口に運んだ。
フリーエネルギーの研究者が、食事中に不意に現れた地底人に言われたという動画の場面を思い出した。

地底人といっても、以前は地上に住んでいた種が、ある時期から住むようになった。
それにしても、地上と地下で、どうして大きな違いが生まれたんだろう?

と、テーブルに置いたスマホに着信のサインがあった。

「いま、授業中かな? もう、終わったよね・・」

梨花からのラインだった。

「久しぶりだけど、もしかして何かあったの?」

「いま、大丈夫? 実は、最近、夢を見たので」

「もう授業を終えて、ちょっとウォーキングしてうどんを食べに来たから。それで、何か僕に関係があること?」

「ええ。もしかして、現実かもって思ったので、訊いてみようと」

「どんな夢だったの?」

「どこか、普段あまり見ない景色の所へ行っていたわ」

「僕が、ってこと?」

「ええ。あの丸い乗り物に乗っていたわ」

「僕一人で?」

「いえ。沢さんよりちょっと小柄なひとが一緒だったけど、性別は分からなかった・・」

「それ、いつのこと?」

「何日か前のことだわ」

「当たっている。梨花さん、前からそういうことあった?」

「あまり記憶はないけど、今回、目覚めた後も、なんだかリアルな感じがして」

「う~ん。梨花さんも・・」

To Be Continued

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